現代的な洋風スタイルに日本特有の風土に適した和室の要素を組み合わせ、機能的で快適な空間となったリノベーションをご紹介いたします。
もともと和室は、日本の高温多湿な環境に適応し、住み心地を高めるための基本的性能が備わっていることが特徴です。また、休憩のためのスペースや、子どもの遊び場、そして客間としてなど、さまざまな用途に活用できる点でも使い勝手のよい一室といえるでしょう。
和室の床には、フローリングに囲まれるように畳を敷き込んでいます。
畳は、湿度が高いときには湿気を吸収し、そして湿度が低いときに吐き出すといった調湿効果があります。湿度管理は、快適性を考慮するうえで欠かせない要素のひとつです。
また、畳の持つ適度なクッション性により、下階への防音効果も期待できます。
畳の周囲には木製の見切りを設置し、フローリングと同じ高さにすることでリビングダイニングから続くバリアフリーを実現しています。また和室から玄関ホールに向かっては、竪格子の上吊り引き戸を採用。
竪格子にすることで適度な目隠し効果があり、そして夜には幻想的な明かりが差し込む演出効果も魅力のひとつです。
玄関からの風景も、竪格子の建具がひとつのインテリアとして空間をおしゃれに演出しています。
和室特有ともいえる圧倒的な収納力を誇る押入れは、布団などサイズの大きなものでも片づけられる利便性があります。
和室に隣接するのは、広々としたLDKです。
壁付けのI型キッチンにすると、リビングダイニングをより広く活用できます。またデッドスペースになりやすい天井下部分には吊戸棚を設置し、ムダなく収納を確保しています。
キッチンのカラーも木目にし、全体的にナチュラルテイストで統一することで、暖かい雰囲気のある心地よい空間に仕上がりました。
そしてLDKの南側に位置する2つの大きな掃き出し窓には、障子を設置して和の要素を取り入れています。既存の窓の内側に障子を設置すると、直射日光を適度に遮断するうえ密閉された空気層を形成するため、優れた断熱性を発揮します。
住宅内で最も熱移動が活発なのは窓であることからも、窓を二重構造にすることが最も断熱効果が期待できるのです。
トイレの便器には、美しいフォルムが特徴的なタンクレストイレを採用。タンクレストイレは、掃除がしやすくきれいに保ちやすいことが大きな特徴です。シンプルでありながら清潔感のある白でまとめることで、清々しく気持ちのよい空間に仕上がりました。
和の要素をうまく取り入れることで落ち着いた雰囲気と機能性を兼ね備え、非常にバランスのよいくつろぎの和モダンスタイルが完成しました。