多くの色と柄を合わせると煩くなるイメージですが、様々な要素を上手にまとめ、かわいいレトロな洋館風のお家が完成しました。生活しやすい設計でありながら、どこを切り取っても絵になるデザイン。日常が、非日常の中にあるような、センスあふれるリノベーションをご紹介します。
まずは玄関です。上がり框はアーチ型にして床との設置部分を広げることで空間をより広く感じます。
土間部分はモルタルにカラフルなタイルをランダムに埋め込んでいます。殺風景になりがちな玄関土間が、ポップで華やかな玄関になりました。スペインの公園のような色合いで、ここから広がる家の中がワクワクする家の顔です。
玄関から入って右側にあるアーチ開口を通ると、大容量のウォークインクローゼットへ繋がります。
部屋の中心に壁を作り、裏側にも収納棚を設けることでデッドスペースを無駄にしません。広さを有効的に、かつデザイン性高く活用するために、表側の壁にはタイル柄のクロスを貼っています。
室内に設けた愛らしい壁にゴールドのハンガーフックを仕掛け、コートなどを掛けることができます。普通の黒のコートやジャケットも、壁紙が作る印象とスポットライトに照らさることにより、「飾る」収納になります。ジーンズを掛けても良いかもしれません。帽子を3つ飾るのもかわいいです。ウォークインクローゼットの廊下側には、腰高から天井まで、大きな室内窓が設置されていて、廊下側から見えるクローゼット室内はセレクトショップの路面店のようです。
玄関正面にあたる廊下にも仕掛けがあります。こちらは黒板クロスを使うことで、自由に落書きすることができます。木枠を設け、上部にブラケットライトを設置することでアートスペースであることが明確になっています。子供たちが自由に落書きしても良し、カフェのようにメニューボードにするも良し、壁を彩る使い方は自由自在です。
こちらはLDKです。フローリングには天然無垢材、オークにオイル塗装をして仕上げています。オイル塗装を施すことで、無垢材の良さを生かしながら渋みのある古材の様な風合いになりました。
天井は躯体現しのまま、白の塗装で空間を広く感じさせています。中心部分に大きなシーリングファンを設置し、室内の空気を循環させ、見た目にもオシャレです。
一面のみ爽やかなブルーのアクセントクロスを採用し、ポップで爽快感があります。
ひと際目を引くカウンターテーブルは、木材にフローリングと同色のオイル塗装を施し、重厚感のあるカウンターとなりました。カウンター上部の立ち上がり壁にはカラフルな北欧風のタイルを等間隔にはめ込んでいます。敢えてバラつきのあるデザインタイルを採用することで、リアルなヨーロピアンヴィンテージ感が愛らしく、センスの高さが表現されています。
キッチンのフロアには石調のタイルを採用しました。石調のフロアタイルは汚れにくく掃除しやすいというメリットがあり、褐色タイルは欧米の庭園のようです。キッチン表面は、フローリングや棚板など、他の木材と調和の取れる色合いの木目を採用。天板は白く明るくしました。グースネックの水栓が上部に弧を描き柔らかい印象です。
キッチン背面には淡いベージュのタイルを敷いています。リビング側へ続く白い壁と相まって、明るいキッチンとなりました。
壁面には木目の棚板を設置し、飾り収納を設けました。敢えて長さの違うものを使い、配管パイプで繋げるように見せています。黒の配管パイプが無骨でありながら、手作りDIY感のある親しみを感じる雰囲気を出しています。
下部には大容量の収納棚を造作で作りました。棚板やフローリングと同じ色で塗装した木材を使い、古材のような、味のある収納棚です。同じ大きさのボックスを連結させるように設計することで、レトロ感が増します。アンティークゴールドの取っ手が、ビンテージ感を更に演出しています。
キッチン奥のアーチ開口をくぐると、大きなパントリーへと繋がります。冷蔵庫やゴミ箱をはじめ、生活感のあるものは全てここに収納可能です。高さを自由に設定できる棚板も沢山あるので収納には困りません。
キッチンから続く褐色の石調タイルと、濃い色のレンガ調クロスで全体をまとめ、隠れ倉庫のような、ワイナリーの地下貯蔵庫のような雰囲気になりました。
LDK部分の電気系統はトグルスイッチを採用しました。カチカチという音が楽しく、アンティークゴールドのビンテージな質感も、小さいながらに存在感があります。
全体的に欧風アンティークデザインでまとめ、重厚感がありながら、アーチ開口やカラフルなタイルでかわいらしさをプラスしました。非日常的な空間だからこそ、心から落ち着く日常を手に入れることができます。建具や棚など、ほとんどを造作でオリジナルデザインすることで、本当に欲しいものを実現したリノベーションです。