もともと3DKあった部屋を大胆に1LDKへ変更しました。とても大きな空間となったLDKは、将来的な間取り変更にも対応できる仕様になっています。今、過ごしやすい空間と、未来に使いやすい間取りを想定して作られた設計。いつまでも飽きのこないデザインで、ライフステージが変わっても、いつでも心地よく過ごせるように考えて作られたリノベーションです。
玄関ホールは洋室との間仕切りを撤去し、横に広がる土間を造りました。壁に可動棚を設置し、大容量の収納スペースとなっています。外に面した窓もあるので、通気性や採光性も確保されています。
玄関フロアには濃いグレーのタイルを採用しました。荒いモルタル仕上げを再現したタイルは、淵の部分の濃淡が自然な表情となって現れます。白のクロスと自然な木目で優しい印象に包まれたスペースの中で、荒々しいフロアの質感が空間をグッと引き締めカッコいい印象を与えます。
土間に隣接するベッドルームです。こちらは外に面した窓の無い部屋ですが、一部に室内窓を設置することにより土間側から光を取り入れる工夫が施されています。使い勝手の良い高さにある収納スペースは、デッドスペースとなる下部が土間側で小さな便利空間として生きています。
LDKは3部屋を合体し、約18畳を超える大きな空間へと変更しました。
フローリングは無垢材のオーク、クリアオイル塗装を使用しています。天然素材の持つ美しい木目と色むらが、空間に温かみを与えます。壁、収納建具、キッチン腰壁は全て白で統一することにより、フローリングの木目がより一層際立ち、シンプルで洗練された印象です。
相反して、天井は可能な限り高く設定し、躯体現しの状態にモルタルで仕上げました。躯体をそのまま使うのではなく、モルタルで仕上げることにより、ワイルドな無骨さは残しつつも、なめらかで均等な表面は大人の落ち着いた印象です。
黒のライティングレールをキッチン側には2本、クローゼット側には1本敷いています。これは将来的に間仕切りを作り、クローゼット側のスペースを1室として使う事を想定した設計です。家族が増え、部屋が必要になったタイミングで壁と扉を作り、部屋を増やす。部屋が必要ない時期は大きなリビングとして使う。エアコンやLANケーブル等の必要設備も、部屋を分けたときを想定して設計されています。
リビングドアは、色や取っ手、ガラス部分など、それぞれのパーツを数ある選択肢の中からセレクトしてオリジナルを作ることのできるセミオーダータイプです。黒の扉に大きな格子ガラスをはめ込み、重くなりすぎず、高級感があります。取っ手は真鍮のスタイリッシュなタイプを選択し、ホテルの様な重厚感を感じます。白い壁に囲まれた中でひと際目を引く、存在感あるアイテムとなっています。
リビング照明のスイッチはアメリカンスイッチを採用しました。光沢のない金属プレートと黒いスイッチの組み合わせが無機質でカッコ良いデザインです。リビング扉の取っ手部分や天井のモルタルともマッチして、部屋のアクセントになっています。
年月が経つにつれて変わる家族構成やライフステージによって、家の使い方は大きく変化します。そんな変化にも対応できるように考えて設計されたリノベーションです。何歳になっても受け入れられる、シンプルでありながら重厚感を感じられるスタイリッシュなデザインと心地よい空間造り。ここで始まる新しい生活が、何年経っても温和に続くリノベーションでした。