一見、住宅ではなくアパレルショップや美容室の様なデザイン。よく見るありきたりな内装ではなく、ここにしかない拘りの詰まったリノベーションが完成しました。
こちらはエントランスです。まず目を引くのは正面にある黒のアイアンバーです。繋ぎ目や柄の無い無機質な空間の中で、小さくも存在感のあるアイテムです。こちらは傘かけとして利用するために設置しました。目線の高さに設置しているので、玄関を開けたときにまず目に入ってきます。玄関で乱雑になりがちな傘が、アートとして並ぶエントランスです。
エントランスフロアはモルタルを使用し、マットなグレーに仕上げています。タイルではないので目地が無く、広々とした高級ショップのようなエントランスです。左官作業のコテによって生み出される自然な濃淡がランダムな模様となって現れ、窓から差し込む光に照らされアーティスティックな空間です。
玄関を室内から見てもアートです。天井のダウンライトが入り口をふんわりと照らします。玄関扉の内側は赤いビニールフィルムで色付けしています。扉枠は黒のフィルムを貼っています。ペイント塗装ではなくビニールフィルムを使うことで、材質の質感がない均一な単色が映えます。額縁に収まった赤い扉が、エントランスに彩りを添える絵画のようです。
玄関から室内へ続く廊下も見所が満載。部屋の躯体となっている壁はそのまま躯体現しの状態にしています。中古物件だからこそある、今までの歴史が刻まれた躯体が自然な柄として現れます。対面の壁はクロスで洗練された印象に。相反する材質が向き合って、見事に調和しています。
真ん中には収納棚を設けました。棚の背面は黄色です。
奥行きの浅い1段目は固定棚で棚板も黄色に統一。奥行きが深くなっている2段目以降は可動棚で棚板はグレーです。1段目の色が際立ち、飾り棚として活躍します。
棚の反対側はキッチンになっています。オールステンレスでシンプルに男らしく。コンロは縦型2口タイプでスッキリとしています。錆やカビも付きにくく、アウトドアキッチンの様な重厚感がカッコ良いデザインです。
シンク上部にはキッチン家電や小物を置ける棚を造作しました。シンク横の壁はキッチン幅に合わせて、天井までをブルーのフィルム貼りしています。ステンレスの無機質な中に、艶のあるビビッド色が映え、北欧風のポップ感を与えます。
こちらがメインの居室です。玄関から続くフロアは石調のタイルを敷いています。靴のまま生活しても違和感を感じない室内はアパレルショップの様です。廊下から続く壁と天井は躯体現しで無骨な印象に。それに対し、出窓のある壁はクロスで都会的な印象です。
それぞれの出窓カウンターは赤と青のフィルムで色付けし、バルコニー側の柱は黄色に色付けしました。クールな部屋の中にビビッドカラーのアクセントが加わります。
むき出しとなっているコンセント配線は鉄管配管を施し、コンセントボックスを露出させています。梁の中心に来るように設計し、配管やコンセントも部屋のアートの一部として印象付けるように存在しています。
照明は梁に沿って黒のライティングレールを敷き、黒のスポットライトを定間隔に配置しました。出窓の間など、照明による陰影が、空間に演出を加えます。
スイッチは全てアメリカンなタンブラスイッチで統一しています。レトロ感が逆にモダンで、カチカチと言う音も愛らしいスイッチです。各所にある艶消し金属プレートと黒のタンブラスイッチがインダストリアルなアイテムとして部屋の印象を更に雄々しく格上げしています。
男らしくワイルドな無骨さと、3色のビビッドカラーでポップさをミックスしたアーティスティックなリノベーションデザイン。都心の裏路地にあるアパレル路面店の様な、ワンランク上の空間に仕上がりました。家具や雑貨、日用品などでインテリアを更に自分色に仕上げていくのも楽しみです。自由設計だからこそ自分の思い描く理想の部屋を作り上げることができます。他にはない個性を部屋に投影し、ここにしかない空間を作るからこそ、完成したときの喜びは大きくなるものです。