広々としたマンションの一室を大胆にフルリノベーション。実用性とデザイン性を兼ね、心安らぐ家に仕上げました。
こちらは和室の壁を取り払い、大きなLDKになりました。
フローリングには天然無垢材のオークを使用しています。無垢材フローリングは冬でも裸足で生活できるほど、底冷えしないのが特徴の一つです。自然な木目が美しく、見た目にも温もりを感じます。 壁面はダイニング側一面の上部のみアクセントクロスを採用し、爽やかで清潔感のある部屋となっています。グレーとブルーが混ざったくすみカラーはスタイリッシュで落ち着きのある色味です。
天井はリビング側とダイニング側で区別した仕様になっています。リビング側は躯体現しで無骨な印象に。温もりのある天然木フローリングと相反するコンクリートの荒々しさがカッコよく都会的な印象となっています。ダイニング側の天井は梁の高さに合わせて木目クロスで仕上げ、端正な印象になりました。
リビング側の壁側に、テレビ台を造作で作りました。家電の配置を考えてコンセント配線が設計されています。
壁面は一見普通の白いクロス仕上げのように見えますが、こちらは一面のみプロジェクター用クロスを使用しています。プロジェクターの映像が歪みなくキレイに映し出されるように工夫、加工された壁紙です。
キッチン背面、ダイニング側の壁面にもカウンターを設置しました。キッチン背面にあたる部分にはキッチン家電を配置できるようにコンセントを設計し、上部にも収納棚を設けています。
キッチンフロアには石目調のフロアタイルを採用しました。掃除がしやすく、キッチンエリアがより明確になっています。
キッチン扉面はナチュラルな木目で天井や棚板とデザインを合わせ、ステンレスの天板がアウトドアキッチンのようなワイルドさを感じます。
キッチン腰壁をモールテックスで仕上げ、ステンレス天板との相性も抜群です。防水効果のあるモールテックスはモルタル調の仕上がりになり、左官作業により浮きあがるランダムな模様が上質で高級感があります。フローリングの木目ともマッチしています。
キッチン腰壁リビング側にはインテリアの幅を広げるスペースを設けました。雑誌を並べて置いたり、小さな観葉植物を置いたり、ちょっとした小物でインテリアを楽しむことができる楽しいスペースです。
キッチン奥には充分な広さのパントリーと、オープン収納棚があります。オープン収納棚には家族全員が使うものを、パントリーの中には保存食や調理に使用する物を。気づいたら物が多くなるキッチンに贅沢な大容量の収納スペースです。
キッチン対面、リビング側に斜めに設計された扉を開けると脱衣所、浴室へと繋がります。リビングとの間にある壁上部には室内窓を設け、湿気を逃がす空気の導線を作りました。脱衣所から漏れる光によって中に人がいることも分かる構造になっています。
こちらはエントランス部分です。フロアはモルタルで仕上げ、重厚感のあるエントランスとなっています。玄関入って対面に角が来るよう、廊下との設置部分が斜めになる設計になっています。接地面が広がることにより玄関も廊下も広く感じます。アーチ開口からはウォークインクローゼットへと繋がります。扉を設けないアーチ形の入り口は、アパレルショップへの入り口のようにワクワクする可愛らしい造りです。
約3.4畳の広いクローゼットは、靴から洋服まで全て収納できる広いスペースになっています。真ん中の棚を中心に一周できる構造で棚板やハンガーパイプを設置し、天井から床まで広く収納できるようにしました。ウォークインクローゼットを抜けると室内へと繋がり、洗面台があります。
洗面台はキッチン腰壁と同じ、モールテックスで仕上げました。撥水加工もされているので防水面も安心です。モノトーンでまとめた洗面台は、シンプルでありながら大人の重厚感がある洗面台となっています。玄関入ってから扉に振れることなく洗面所へ行ける設計は、新生活様式に沿ったニーズの高い設計です。
クローゼットとは反対側には台座を設けました。その先には居住フロアよりも更に高いレベルの小上がり和室を作っています。日本家屋の玄関の様に、土間と小上がりの間にもう1段、式台を作り、大きい段差でも上がりやすくしています。壁沿いには小上がりと同じレベルに台座を作り、モルタルで造られた大きな石が台座を支えるような構造です。台座は、靴を履くときの腰掛としても便利に使うことができます。高級旅館の様な純和風の玄関が完成しました。
和室の下は床下収納にもなっています。遊び部屋として、趣味の部屋として、その時のライフステージに合わせて用途を変えることのできる自由な部屋。窓から光が差し込む明るい和室です。裸足で歩き、地べたに座って足を延ばし、寝転がり、日本人としての本来の生活仕様を残した造りこそ、本当の癒しがある家なのかもしれません。壁の色も和室に合わせて織物調の茶系を採用し、心からくつろげる空間となりました。
四角い1室の中で既成概念に捉われることなく斜めに壁を作り、空間を広く感じる工夫を施し、生活様式に合わせて様々な用途のスペースを作りました。天然木のフローリングや畳で温かみのある空間、随所にある左官建材により手作りの高級感と落ち着きを感じるデザインです。安らぎ、和み、温もり。家に欲しい空気感をデザインしたリノベーションでした。