リノベーションに適した中古物件を生かし、フルスケルトンから大胆な間取り変更をしました。無駄を省き最大限の空間活用。自然に囲まれたような雰囲気で、リビングを中心に全てが繋がる家になっています。
もともと玄関から入ってまっすぐ廊下となっていたところに壁を作り、玄関から室内への進入導線を直角に取りました。室内への視界が遮られ、配達などの訪問時も中を見られることがなく安心です。直進ではなく角のある玄関を作ることで、導線に入らないスペースが生まれ、収納箇所としても無理なく活用することができます。
玄関フロアには濃い色の石調タイルを採用しました。靴の裏から自然に移ってしまう泥汚れなども目立たず、重厚感のある石調タイルが高級感のある玄関を演出します。
玄関から左側へ上がるとそのままリビングダイニングへと繋がります。扉は設けず、オープンな設計です。もともと洋室と和室、そして廊下になっていた部分を、全て間仕切りを外し、1つの大きな空間へと変更しました。廊下は人が通過する場所であり、居住空間にならない勿体ないスペースです。大胆に廊下をなくすことで、限られた広さを有効活用し、広々とした空間を確保することができます。
フローリングには無垢材を使っています。玄関フロアと同じようにダークな色味を採用しました。壁は渋みのあるダークグリーンで統一し、建具や柱など、随所にナチュラルな木目を指し色として使っています。全ての色味や風合いが合わさり、自然の森の中にいるような雰囲気となりました。明るすぎない室内が心落ち着きます。
リビングダイニングの一角にキッチンがあります。フローリングの材質を変えることにより上手くゾーニングを実現しました。
キッチンはそれぞれのパーツをセレクトして自分仕様のキッチンを完成させる、セミオーダータイプを採用しています。ステンレス天板とアイアンフレーム、無垢材の棚板が無骨でありながら優しさを感じます。森の中の様な雰囲気があるLDとも相性が良く、キッチンフロアの石調タイルとも相まって、アウトドアキッチンのような存在感です。
キッチン水栓の壁面には室内窓を設置しました。開放することも可能です。室内窓を開ければベランダへと繋がり、新鮮な空気の通り道となります。キッチン壁にこもりがちな湿気や熱気を逃がすこともでき、また、自然の明るさを取り入れることも可能です。
LDKの奥には洋室を2つ作りました。もともとLDKだった場所になります。扉は引き戸を採用し、全て開けると無駄なく開放的です。向かって左側の洋室には柱の奥行きを生かして作業デスクを作りました。
キッチンと同じメーカーで揃えた自然素材の作業デスクは緑の壁面ともマッチしています。上部の吊り棚も同じ素材で揃え、沢山の本や小物を収納する場所として活躍します。デスク足元にもコンセントを作り、LANケーブル用の配管もこちらのデスクに繋がるように設計されています。天井はLDKと同じく躯体現しにグレー塗装で仕上げ、オシャレなオフィスのような部屋になりました。扉を開放すると玄関側の窓との間に遮るものがなく、窓を開ければ充分に換気ができます。
一方、寝室側の天井は木製パネルで仕上げています。ワークスペースと天井の質感を変えるだけで部屋の印象が変わり、温かみがあります。
ベッドに横たわり上を見上げると温かみのある木目に癒されます。ベランダから明るい光も差し込み、自然素材に囲まれた心地よい寝室空間となりました。ライティングレールも天井段差に沿って目立たないように設置し、木目が美しく天井に広がります。
寝室とワークスペースの間にある間仕切りは、天井部分に隙間を作りました。空気の通り道となり、部屋の各方向に開放部があることで快適な住空間が保たれます。また、締め切っても隣の部屋から漏れてくる光や音によって繋がりを感じることができ、家族と一緒にいる安心感を得ることができます。
浴室やトイレなど、水場が家の端に集中している元の構造を生かし、居住空間を大幅に間取り変更したリノベーションです。廊下を一切排除し、各部屋が全て直接つながる、広々とした設計となりました。どこにいても繋がりを感じることができる間取り、細部に渡り光と空気の通り道を作り、快適な住環境ができました。天然素材をふんだんに使い、自然環境に近い色に統一することで、家の中でも安らぎと安心感を得ることのできるリノベーションデザインです。