この度の施主様のデザイン・設計時のコンセプトとしては、物件の特徴である「間口の広さと眺望」を活かした、開放的な空間づくりと、スムーズな動線づくりでした。解放的な空間づくりに関しては、LDスペースを広い間口のバルコニー側に配置して、眺望のよい、まとまり感のあるリビングスペースを確保できました。
リビングの一部は、3連の可動間仕切りで仕切ることにより、客間や将来的な子供部屋などの個室にも転用可能です。
スムーズな動線づくりに関しては、広い間口を活かし、浴室を外壁側ではなく室内の中央側に少し移動することで、玄関→クローク→洗面脱衣→浴室→居室スペースへつづく独立した動線を確保できています。また、玄関→廊下→パントリー→キッチンという別の家事動線も合わせて確保できています。
この動線はメインのリビングに向かう動線とは離れたルートを確保することで、プライベート/パブリックな生活スペースを区切る役割も果たしています。
それぞれの動線の途中にあるクローク、パントリーは、洋服や食品など日々の生活の中にあるモノたちの収納スペースとして十分な広さを確保しつつ、動線上の適正な位置に配置することで、リビング等のメインの団欒スペースにモノがおかれて雑多な印象にならないよう機能しています。
各寝室にもクローゼットを用意しており、収納力としても十分なスペースが確保できています。
設計当初から回遊性のある生活動線を確保したい、というご希望がありました。
この点については、上記の2つの動線を確保することでご提案・解決ができたものと考えています。
また、ネコちゃんが2匹一緒に生活されていて、ネコちゃんと快適に過ごせる空間づくりも、拘りポイントとして挙げられます。
要所の扉にはネコちゃんが出入りできるゲートを用意したり、扉位置や数を検討してネコちゃんが安全にお留守番できる部屋づくりを実現しています。また、リビングの壁面のネコステップや、廊下に設けた「ネコ専用くぐり戸」など、ネコちゃん達への快適性の提供も忘れていません。
お部屋全体の雰囲気としては、木の風合いを活かした床材と白の壁紙が基調になって、ナチュラルで落ち着いた雰囲気にまとめられています。
特にキッチンについては、グレードを上げてまでこだわったグレーマットな質感の面材とアクセントクロス、木の天井材によって、明るさと解放感のあるリビングの中でぐっと締まった雰囲気のあるカフェ風のキッチンに仕上がっています。
全体のコストを調整する意図も含め、床材はすべてフロアタイルで統一しています。ラフ感のあるフローリング風の床、モルタル風の水回り、クローク部分など、コストを抑えつつ、お部屋全体の雰囲気を演出できる仕上げ材をご提供できたと思います。