「リノベーション物件はやめた方が良いって本当?」
「どんなデメリットがあるのか知っておきたい」
「本当に購入すべきか迷っている」
この記事では上記のような悩みや疑問にお応えしています。
結論を先にいうと、「どんな物件でもデメリットはあるので、理解した上で慎重に選ぶべき」です。
デメリットの代表的なものには耐震性があります。
中古マンションや戸建ての場合、築20年以上のものもあり、新耐震基準に満たない場合があります。
しかし、耐震工事が未完了のまま販売されていることが少なくありません。
また、リノベーションが一部のみに施されている物件もあります。
表面は美しく見えても、実際には隠れた問題点が潜んでいるかもしれません。
そのため、デメリットを理解し、適切な選び方を身につけることで、リノベーション物件の真の価値を見極めることができます。
また、物件選びの際に押さえるべきポイントを知ることで、後悔のない賢い決断が可能になります。
今回は、リノベーション物件のデメリットをお伝えし、理解して頂いたうえで物件の選び方とポイントを紹介します。
理想の住まいを手に入れるためにも、失敗しないための知識を身につけておきましょう。

リノベーション物件における8つのデメリット
リノベーション物件には以下のようなメリットがあります。
リノベーション物件のメリット |
---|
・新築と比較して低価格 ・リノベーション費用がかからない ・資産価値が高まる可能性がある |
一方で、あまり知られていないデメリットもあります。
この章では、リノベーション物件におけるデメリットについて紹介していきます。
◉ 2. 地震に弱い可能性がある
◉ 3. 断熱性に優れていない場合がある
◉ 4. 販売価格が割高に設定されている
◉ 5. 目に見えない部分が老朽化している
◉ 6. 住宅ローンが不利になる場合がある
◉ 7. 住宅ローン減税の適用範囲が狭まっている
◉ 8. 売りにくく貸しにくい
1. すべてがリノベーションされているわけではない
デメリットひとつめはすべてがリノベーションされているわけではないということ。
リノベーションと聞いてイメージするのは、中古物件が新しくデザイン性の高い空間に変わっている姿ではないでしょうか。
しかし、すべてが広告等で見かけるような素敵なものだけではありません。
建物にもよりますが、一部だけの改修工事のみでほぼ手のつけられていない状態のものもあります。
例えば、リビングルームやキッチンは完全に改装されているものの、バスルームやトイレなどの水回り、あるいは外観や共用部分がそのままというのも珍しくありません。
その場合、購入後に古い部分のメンテナンスや将来的な修繕に追加費用が必要になることも考えられます。
2. 地震に弱い可能性がある
次に地震に弱い可能性があることです。
これは1981年以前の「旧耐震基準」で建築された建物に多くみられます。
旧耐震基準では最大震度5強の揺れでも建物が倒壊しないように設計されていますが、1982年以降の「新耐震基準」では、震度6や7でも倒壊しないように水準が上がっています。
これは日本で起きる地震が震度6以上で発生するためで、1978年に発生した最大震度5以上の宮城県沖地震が制定のきっかけとなりました。
旧耐震基準の場合、大きな地震で建物が重大な損傷を受けるリスクが高まることが懸念されます。
特に、内装や設備を一新しても、建物の基本構造が古いままであれば、その耐久性は限界をこえるでしょう。
耐震補強が行われていない場合、地震による倒壊や大きな損傷のリスクが増加し、住む人の安全を脅かす可能性があります。
そのため、安心して長く住めるリノベーション物件を選ぶためには、このような耐久性の問題を見落とさないことが不可欠です。
3. 断熱性に優れていない場合がある
次に断熱性が優れていない場合があることです。
まず、断熱性とは、建物が外部の気温の影響を受けにくくする性能のことを指します。
つまり、夏は涼しく、冬は暖かく保つ能力のことです。
この断熱性が高い建物は、室内の温度を一定に保ちやすく、快適な居住環境で過ごせます。
リノベーション物件の場合、断熱性に優れていないことが多々あります。
断熱性が不十分だと、室内の快適性が低下します。例えば、夏は室内が暑くなり、冬は寒さを感じやすくなるなどです。
また、断熱性が低いと、暖房・冷房機器を多用する必要が生じ、それに伴い電気代が高くなるという経済的な負担も発生します。
また、結露が発生しやすく、それがカビやダニの原因となり、住宅内の環境衛生上の問題を引き起こすこともあります。
特にアレルギー体質の方や小さなお子様がいる家庭にとっては深刻な懸念事項となるでしょう。
4. 販売価格が割高に設定されている
次に販売価格が割高で設定されていることがあることです。
理由は、リノベーション費用が上乗せされていることにあります。
「中古物件は新築に比べて価格が割安なんじゃ。。。」と思った方もいるでしょう。
確かに新築と比較するとリノベーション物件は価格が低めです。
しかし、内訳を調べてみると、リノベーション費用が高めに設定されている場合もあるのです。
一方で、リノベーション物件はすべて含めた価格帯で販売されているため、追加費用の計算を入れなくて良いのが利点です。
販売価格が高く設定されている可能性があるとはいえ、価格帯がすべて高いわけではないことも把握しておきましょう。
また、単純に「高価」と感じるだけでなく、コストパフォーマンスについて誤った判断を下すリスクもあります。
リノベーション物件を選ぶ際には、単に価格を見るのではなく、その価格がどのような価値を反映しているのか、リノベーションの質とコストのバランスを考慮することが重要です。
5. 目に見えない部分が老朽化している
リノベーションをしても、目に見えない部分の老朽化によるデメリットも忘れてはいけません。
特に、建物の基礎や構造体、配管や電気配線など、表面からは見えない部分に問題が潜んでいることがあります。
住み始めた後に様々な問題が浮上する可能性があります。
例えば、水漏れや断水、電気トラブルなどの緊急の修理が必要になる場合もあり、これらの修理には想定外の費用がかかることが一般的です。
また、老朽化した配管や電気配線は、将来的な大規模な修繕が必要になる可能性もあり、長期的な維持費用が増加するリスクも考慮する必要があります。
表面的なリノベーションに隠された老朽化した部分の問題は、購入後の追加コストや安全性のリスクを引き起こす可能性があります。
したがって、リノベーション物件を選ぶ際には、見た目だけでなく、建物の構造的な健全性や設備の状態についても、専門家の意見を求めるなどして、十分に検証することが大切です。
見た目の美しさに惑わされず、物件全体の品質を総合的に判断していきましょう。
6.住宅ローンが不利になる場合がある
中古物件は住宅ローンが限度額まで借入できないなどの不利になる場合があります。
なぜなら、築年数などにより借入限度額の制限や返済期間の制限があるからです。
これは金融機関でも異なりますが、中古物件への評価が新築と比べ低くなりがちになるのが要因です。
特に耐久性や耐震基準に関しての審査は、地震の多い日本だからこそ、重要視されています。
特に旧耐震基準のままの物件では借入ができないこともあります。
したがって、リノベーション物件の購入を検討する際には、住宅ローンの条件も事前にしっかりと調べ、金融機関との相談を通じて、適切なローンプランを選択することが重要です。
また、可能な限り自己資金を用意するなど、ローンに依存しない資金計画を立てることも、賢明な選択と言えるでしょう。
7.住宅ローン減税の適用範囲が狭まっている
住宅ローン減税は2024年入居分から適用範囲が変わります。特に新築に関しての控除範囲が狭まります。
主な内容は以下の表の通りです。
2024年以降の控除の適用条件は以下のように変更点があります。
性能 | 借入限度額 | 最大控除額 | 控除期間 | |
新築住宅 | ①長期・低炭素住宅 | 5000万円 | 0.7%へ引き下げ | 13年 |
②ZEH水準省エネ住宅 | 4500万円 | |||
③省エネ基準適合住宅 | 4000万円 | |||
その他の住宅 | 3000万円→2000万円に | 対象外 | ||
中古住宅 | ①~③の該当住宅 | 3000万円 | 0.7%へ引き下げ | 10年 |
その他の住宅 | 2000万円 |
前提知識として、住宅ローン減税とは住宅を購入する際に利用するローンに対して、一定の条件のもと所得税か減税される制度です。
具体的には、住宅ローンで借り入れた金額に対して、年末の残高から所得税から1%程の控除がされます。
2024年からは住宅ローンの控除額が新築・既存ともに0.7%に引き下げられます。
参考資料 : ①https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-1.htm
参考資料 : ②https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm
また、新築物件では省エネ基準に適さない「その他の住宅」に対しての控除が対象外となります。
一方で、既存住宅に関しては控除額が引き下げられるものの10年間控除対象です。
控除額が住宅ローン残高の減少に影響を受ける点は、ローンの返済計画を立てる上で重要です。
返済スケジュールや、住宅購入に際しての経済計画に影響を与える可能性があります。
8. 売りにくく貸しにくい
リノベーション物件の中には、デザインに特化し、独特のスタイルやコンセプトで改装されるものがあります。
これらは購入者自身の好みやライフスタイルにぴったり合うようカスタマイズされていることが多く、居住者にとっては非常に魅力的な選択肢でしょう。
しかし、その奇抜なデザインや特定のニーズに合わせた改装が、売りにくく貸しにくいものになる可能性も。
一般的に購入者は、時代を問わないデザインを好む傾向があるため、特定のテイストに特化したリノベーション物件は、ニーズに合わない可能性が高いです。
結果として、物件は売りにくくなり、貸しにくくなります。
つまり、市場での需要が限られてくるため、物件の流動性が低下し、売却や賃貸において不利な条件を受け入れざるを得ない状況になるかもしれません。
また、奇抜なデザインは時とともに古くなる可能性があるため、流行遅れとなってしまうリスクもあります。
≫≫ 中古マンション選びで気になる耐震基準!過去の被害状況から選び方を解説
リノベーション物件の種類
リノベーション物件には様々な種類があり、それぞれに魅力と特徴があります。
フルリノベーションから設備のみのリノベーションまで、自分のライフスタイルや予算に合わせた選択肢を見つけましょう。
種類 | 特徴 | おすすめの人 |
---|---|---|
フルリノベーション | 内装・設備すべてを改装 | 好みのデザインやライフスタイルに合わせたい人 |
内装のみリノベーション | 内装だけをリノベーションする | 室内のデザインをカスタマイズしたい人 |
設備のみリノベーション | キッチンや浴室などの機能更新に特化したリノベーション | 生活の質の向上をしたい人 |
フルリノベーション物件
フルリノベーション物件とは、建物の基本構造を残しつつ、内装から設備、場合によっては配管や電気系統に至るまで、すべてを新しくするリノベーションのことです。
これにより、物件はほぼ新築同様の状態に生まれ変わり、最新の住宅性能を備えることになります。
フルリノベーション物件を選ぶべき人は、自分の理想を具現化したい方や、最新の住宅性能やデザインを重視する方、そして長期的に快適に暮らしたい方です。
また、既存の間取りや設備に満足できず、トータルでのカスタマイズを望む方にも最適です。
フルリノベーションは、自由度の高いカスタマイズを実現するための最良の選択と言えるでしょう。
内装のみのリノベーション物件
内装のみのリノベーション物件とは、建物の外観や構造には手を加えず、室内の壁紙や床材、照明などの内装だけを改装した物件です。
こうしたリノベーションでは、住宅の性能を大きく変えることはなく、主に見た目の美しさや居住空間の快適性を高めることを目的としています。
内装のみのリノベーション物件を選ぶのに適しているのは、現在の住まいの基本構造や立地に満足していて、特にインテリアの雰囲気やデザインを新しくしたい方です。
また、比較的少ない予算で住宅の印象を一新したい方や、リノベーションにかける時間を短縮したい方にもおすすめです。
自分のスタイルを反映したいが、大規模な改修は必要ないと考える方にとって、内装のみのリノベーションは理想的な選択肢となるでしょう。
設備のみリノベーション物件
設備のみリノベーション物件とは、建物の内装や外観の構造に手を加えることなく、キッチンやバスルーム、トイレといった水回りの設備、または暖房・冷房システムなどの機能設備のみを新しくするリノベーションです。
このリノベーションは、主に住まいの機能性や快適性を向上させるために行われます。
おすすめしたい人は、現在の家のデザインや間取りに満足しているが、古くなったり機能不足の設備を最新のものに更新して、より快適な住環境を求めている方です。
また、エネルギー効率の良い設備への交換を希望する環境意識の高い方や、使い勝手と安全性を重視する高齢者や小さな子どもがいる家庭にも適しています。
設備更新は、比較的低コストで住まいの質を大幅に改善できる手段として有効です。
≫≫ 中古マンション+リノベーションが人気急増!その理由と物件選びのコツを解説
リノベーション物件の適切な選び方のポイント
まず、おすすめなリノベーション物件は築30年前後のものです。
なぜなら新耐震基準を満たしつつも、現代のライフスタイルや基本的な建築基準に適合している可能性が高い。
なおかつ価格が比較的リーズナブル、コストパフォーマンスの観点からも魅力的だからです。
上記の点も踏まえながら、この章ではリノベーション物件の適切な選び方のポイントを紹介していきます。
◉ ホームインスペクションを依頼する
◉ 住宅ローンや保証内容をチェックする
リノベーション実施部分と耐震基準を確認する
ひとつめのポイントはリノベーション実施部分と耐震基準の確認です。
物件によっては、外観や内装だけが新しくされていることがありますが、重要なのは構造体や設備など、目に見えない部分のリノベーションの有無。
特に水回りや電気設備など、日常生活に直結する部分がリノベーションされているかを確認しましょう。
耐震基準の確認は、リノベーション物件を選ぶ際に特に重視すべきポイントです。
特に日本のような地震が多い国では、建物の耐震性は安全性に直結します。
物件が建築された時期と、その後の耐震基準の改訂を確認し、必要に応じて専門家による耐震診断を受けることをおすすめします。
ホームインスペクションを依頼する
次にホームインスペクションの依頼です。
ホームインスペクションとは、住宅の状態を専門家が詳細に調査すること。
それにより建物の構造的な問題、隠れた修理の必要性、安全上の問題点などを明らかにすることができます。
リノベーション物件を購入する際、ホームインスペクションは見た目だけでなく、物件の「本当の価値」を把握するのに役立ちます。
費用は、物件の大きさや調査の範囲によって異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度が相場です。
初期費用としてはある程度の出費が必要ですが、将来的に発生するかもしれない大きな修繕費用やトラブルを未然に防ぐことを考えれば、非常に有効な投資と言えます。
住宅ローンや保証内容をチェックする
最後に住宅ローンについてです。
購入物件が住宅ローンの適用対象になるかを確認することは、重要なポイント。
リノベーションの範囲や物件の築年数によっては、金融機関によるローンの承認が得にくい場合もあります。
また、リノベーション物件の場合、金利条件や返済期間にも注意が必要です。
さらに、保険の適用範囲についても確認することが大切です。
一般的な住宅保険がリノベーション物件に適用されるか、または特別な保険が必要になる場合があります。リノベーションによって構造が変更された場合、通常の住宅保険の適用外となるリスクも考慮する必要があります。
≫≫リノベーション向き物件の選び方から見分けるポイントや探し方まで解説
リノベーション物件で気になる8つのデメリットと選び方のポイントを解説 まとめ
今回はリノベーション物件のデメリットと選び方のポイントについて紹介してきました。
内容のおさらいをしてきましょう。
リノベーション物件のデメリットは8つ挙げられ、全ての物件がリノベーションされているわけではないことや地震に弱い可能性があること、断熱性の問題や目に見えない部分の老朽化などの物理的な部分。
また、蓋を開けてみると販売価格が割高だったり、住宅ローンが有利ではない場合や減税への制限などの金銭的な部分があります。
また、物件を選ぶポイントとして、リノベーション部分と耐震基準の確認やホームインスペクションの重要性が挙げられます。さらに住宅ローンの補償内容も確認すべきです。
上記を網羅することで、将来的なリスクを減らし、快適な住まいを手に入れることが可能になります。
また、すでにデザインされているリノベーション物件も良い選択ですが、自分自身で一からデザインできる中古物件の購入とリノベーションも検討する価値があります。
リノデュースでは、中古物件の購入と防音リノベーションをセットにすることで、物件購入にかかる仲介手数料が0円になります。
事例資料を参考に、リノベーションの可能性をより広げることができるでしょう。
リノベーション物件選びは、慎重に行うことで、理想の住まいを手に入れることができます。