「マンション派」か「戸建て派」で意見が分かれる原因として、建物のメンテナンス費用を比較する人が多いと思います。
賃貸住宅であれば、家賃を払うことで管理会社が全ておこなってくれますが、自宅となるとそうではありません。
コストで悩んでいる人は購入後に必要なマンションと戸建ての必要なメンテナンス費用や、長く住み続けた場合の費用を知ることが大切です。
ある程度の費用を知ることで購入前に長い目で予算を組み、考えることができます。
この記事では、メンテナンス費用と労力について徹底的に比較しています。
マンションと戸建てのどちらにするか決めかねている人はぜひ参考にしてください。
中古マンションと戸建てで必要なメンテナンス費用とは
中古マンションと戸建てで必要なメンテナンス費用で共通の項目もあれば、それぞれ個別にしかかからない項目も存在します。
マンションは各室内の専有部分以外は区分所有者全員の持ち分であるため、外壁や屋根、エレベーターの修繕費用は全員で負担します。
しかし、戸建ては一世帯しか住んでいないので、家にかかる費用は全て持ち主が負担します。
共通としてかかる費用は固定資産税、都市計画税(地域による)、火災保険・地震保険です。
税金は物件の所在地である市町村により決定しますが、保険は加入する会社を自ら選択できるので費用を抑えられる可能性があります。
まずは、それぞれにかかるメンテナンス費用について確認していきましょう。
- 中古マンションと戸建てで必要なメンテナンス費用
- – 中古マンションで必要なメンテナンス費用
– 戸建てで必要なメンテナンス費用
– 中古マンションは維持費の値上がりに注意
中古マンションで必要なメンテナンス費用
メンテナンスにかかる費用は比較的少なく、3項目しかありません。
② 修繕積立金 1~2万円
③ 駐車場代 1~3万円
毎月固定で支払うため一度に多額の費用が必要ない点が特徴です。
管理費は、マンション全体を管理するための人件費や雑費、公租公課、清掃代など共用部分を維持管理する費用として使用されます。
必要な費用の支払いに毎月充当しているため、貯まっている物件はほとんどありません。
建物の大規模修繕や一度に大きな出費が必要な場合は修繕積立金で支払います。
名前の通り修繕や建替えに備え、積み立てている費用のため築浅物件は安く、築年数が経過すればするほど高くなる傾向にあります。
積立金がゼロ円だと不慮のアクシデントに対応ができなくなるため、新築時は購入者から一時金としてまとまった額を回収します。
また、大規模修繕などで積立金が不足した場合はその時点の所有者から追加で回収する物件もあります。
中古マンションはメンテナンスにかかる項目が少なく、毎月の支払いを計算しやすいといえます。
戸建てで必要なメンテナンス費用
戸建てにかかるメンテナンス費用は新築時は必要ありません。
項目ごとに耐用年数が決まっているため、壊れてしまったときに変えるケースと定期点検で指摘された項目を変えるケースが存在します。
② 屋根 15~-20年 50万円
③ シロアリ対策 5年 20万円
④ 給湯器 10年 25万円
⑤ コーキング 7~10年 30万円
戸建てにかかる費用の特徴は、必ずしも全ての家庭が同じタイミングではないことです。
家族構成や使用頻度、日々の清掃などで必要になる時期は異なります。
水回りの設備は使用していくうちに劣化度が目に見えて分かりますが、屋根やシロアリ対策などは自ら確認が困難であるため、定期的に点検を受けることが大切です。
その際はぼったくりや見落としがないようにしっかりと信頼できる会社に依頼しましょう。
中古マンションは維持費の値上がりに注意
維持費と言えば、管理費や修繕積立金、駐車場代を指します。
その中でも修繕積立金は確実に値上がりすると言っても過言ではないでしょう。
管理費は主に人件費の高騰や管理体制の強化などの変更を管理会社に依頼すると上がるかもしれませんが、変動はそこまで大きくありません。
築10年未満までは新築時と変わらない物件が多いと言われています。
駐車場も同様です。平面駐車場しかない物件に機械式が導入されるなど大きな変更がなければ費用もそこまで変動はないでしょう。
しかし、修繕積立金は100%に近い可能性で上がります。
建設時点で長期修繕計画が練られていますが、その時点で修繕積立金を値上げする計画にしている物件もあるほどです。
大規模修繕があれば値上がりや一時金の負担は避けては通れない道かもしれません。
中古マンションの管理費/修繕積立金の違いは?各相場と値上がる要因
中古マンションと戸建てのメンテナンス費用を比較
メンテナンス費用について調べたことがある人は、どちらの方が多く必要か知っているかもしれませんが、実際のところどうなのでしょうか。
30年間住んだ場合を過程して、それぞれの費用についてシミュレーションをしてみます。
30年間住んだ場合の比較シミュレーション
・管理費:1.5万円×12ヵ月×30年=540万円
・修繕積立金:1.5万円×12ヵ月×30年=540万円
・駐車場代:1.5万円×12ヵ月×30年=540万円
合計1,620万円
全ての項目で変動はありますが、30年間の平均の金額で計算をしました。
もし駐車場代が必要ない場合は1,080万円になります。
・外壁:100万円×2回=200万円
・屋根:50万円×2回=100万円
・シロアリ対策:20万円×6回=120万円
・給湯器:25万円×3回 75万円
・コーキング:30万円×3回 90万円
合計585万円
今回の結果で、中古マンションは駐車場を契約していない場合でもメンテナンス費用が多くかかることが分かりました。
メンテナンス費用のコストで選ぶか手間で選ぶか
上記の結果から、メンテナンス費用だけで見るとマンションより戸建ての方が安くすむことが分かりました。
しかし、何十年と住み続けると家族構成の変化や職場の異動、さまざまな家庭でのイベントが発生します。
その都度自ら業者を手配して、複数の業者に相見積りを依頼するとなると相当な手間と時間を注ぐことになります。
メンテナンスのコスト重視か手間や時間を減らしたいかで選択肢は変わるので自分にどちらが合っているか判断してみてください。
メンテナンスに手間をかけたくない場合は中古マンションを選択
とにかくメンテナンスに関して、時間や手間をかけたくない人は中古マンションが向いています。
専有部分以外の清掃や物件に関する管理は何もすることがなく、室内の整備に集中することができます。
建物の修繕工事には日々の清掃も大きく関わりますが、共用部分に関しては管理費で管理人が行ってくれます。
メンテナンス工事に関しても自ら見積りをとる必要はなく、管理組合の役員や管理会社が総会で案を出します。
かといって意見をまったくだせないわけではなく、管理組員の半数以上の可決により大規模な修繕工事などは議決されることが多いです。
極力メンテナンスに手間をかけたくない人に向いているといえます。
メンテナンス費用をとにかく抑えたい人は戸建てを選択
先ほどの比較例でも結果がでたように、メンテナンス費用をとにかく抑えたい人は戸建てが向いています。
複数人で所有している物件とは違い、自らの意思で業者を選定できる点も大きなポイントです。
日々の清掃や定期点検を必ず行うことが大切ですが、適切なタイミングで修理や掃除をして綺麗に保つことで、生涯かかるコストを減らせる可能性が高いです。
反対にそこまで時間をかけられない人はシロアリ被害や構造の欠陥といった重大な出来事に気が付かず突然多額の費用がかかってくるかもしれません。
しかし、駐車場代がかからず、なんと言ってもメンテナンス費用が抑えられる点が戸建ての最大のメリットです。
必要なタイミングでの出費にも対応ができる貯蓄計画をたてられる人は、戸建てに向いているといえます。
まとめ
この記事では、中古マンションと戸建てのメンテナンスに必要な費用を比較をしました。
メンテナンス費用を抑えられる半面、家全体を自主管理する必要があるので手間がかかるのか、とにかく手間を減らして費用を支払うのかどちらもメリットとデメリットが存在します。
一概にどちらの方がよいとは言い切れずそれぞれ良さがあります。
今回は30年という期間で計算しましたが、もっと長く住み続ける場合は生涯かかるコストと手間をかける時間は大きな差がでてきます。
物件を探す場合は、購入価格のみではなく、メンテナンス費も考えながら選びましょう。