不動産の購入は多くの場合において、住宅ローンを組み月々返済することが一般的でしょう。
しかし総額が比較的抑えられやすい中古マンションの購入では、一括購入が可能という方もいらっしゃるかもしれません。
一括購入は住宅ローンを組まないため月々の返済をゼロに出来る上、利息分の支払いも無くトータルでの出費を大きく抑えられるはずです。
しかし、中古物件とはいえ大きな金額が一瞬で手元から無くなることは事実です。
そのため以下のような考えをお持ちの方は少なくないでしょう。
「資金に余裕はあるけれど、本当に大丈夫なのか判断できない…」
「デメリットは無いのか?」
本記事では中古マンションの一括購入について、上記のような疑問、不安を解消できる内容となっています。
ぜひ最後までご覧になってください。
中古マンションの一括購入はあり?
一括での購入を検討する際、本当に問題ないのか不安になってしまうはず。
こちらではおすすめできるケース、問題ないと判断できるケースについて、以下の項目に分けて解説していきます。
– 良物件を早く抑えたい人におすすめ
– 物件価格が安いならあり!
– 専門業者へ相談するのも良い手段
資金が潤沢であれば問題なし
おすすめだと考えられる1つ目のケースは、「手元の資金が潤沢である」ことです。
比較的金額が抑えられる中古物件とはいえ、ほとんどの物件は数千万円にものぼる価格が設定されているでしょう。
手元から大きな金額が一気に支払われるわけですので、その後の貯蓄額がゼロになってしまうと万が一の事態に対応できない可能性があります。
しかし支払い後にも十分な貯蓄が残るのであれば、一括での購入を選択しても問題ないでしょう。
なぜなら住宅ローンの金利負担も無くなり、購入手続きも簡略化される上、保証人も必要無いなど、メリットが大きくなるからです。
支払い後にも貯蓄に余裕が残る程、資金が潤沢であれば問題ないといえるでしょう。
良物件を早く抑えたい人におすすめ
おすすめだと考えられる2つ目のケースは、「良物件を確実に抑えたい時」です。
中古物件の需要は年々増加していることもあり、立地などの条件面で希望にマッチした物件を見つけることは容易ではありません。
そのため良物件が見つかったとしても、多くの顧客が同時に購入を検討すると考えられます。
せっかく購入を決めたとしても、住宅ローンの事前審査などに時間がかかってしまい、その最中に他の顧客が先に手続きを進めてしまうことも想定されるのです。
しかし一括での購入であれば、購入時の手続きを簡略化できます。
事前審査の承認待ちの時間を省略しそのまま契約を結べますので、最も早く確実に希望する物件を手に入れられるのです。
このように物件が希望の条件に合っており、確実に抑えたいと考える場合には間違いない手段としておすすめだといえるでしょう。
物件価格が安いならあり!
おすすめだと考えられる3つ目のケースは、「物件価格が安い時」です。
中古物件の中には、比較的安価に価格が設定されているケースもあります。
物件価格が安すぎる場合、長期での住宅ローンを組めない可能性があるのです。
また、運良くローンを組めたとしても住宅ローン金利の控除額に対して、購入時の諸経費割合が大きくなるため、控除利用による節税などのメリットが小さくなってしまうかもしれません。
こういったケースにおいては、住宅ローンを組むまでの審査の手間、手数料が大きなデメリットとなるでしょう。
そのため物件価格が非常に安い場合、検討する余地は大いにあるといえるのです。
専門業者へ相談するのも良い手段
不動産購入は人生で何度も訪れない大きなイベントのはず。
そのため、ご自身だけで判断するには不安が大きいかもしれません。
そんな時は専門業者へ相談することをおすすめします。
現在はWebサイトで気軽に物件情報を収集できますが、やはり専門知識を持つ業者から直接アドバイスをもらった方が効率良く進められるでしょう。
さらに、ご自身の資金状況や物件の競争率などから照らし合わせて、一括で購入すべきかどうかについても判断してもらえるはずです。
どうしても1人では難しいと思われるようでしたら、迷わず専門業者へ相談することをおすすめします。
また、中古マンションの購入にはリノベーションを同時に行うことが一般的ですので、購入費用だけではなく施工費用も発生するかもしれません。
無駄な出費を抑えるためにも、相談する業者は物件の仲介手数料が無料となる先を選ぶことをおすすめします。
浮いた仲介手数料を施工費用に回すことで、お得に物件を購入できるかもしれません。
≫≫【東京都】中古マンション購入時の仲介手数料無料会社おすすめ3選
【中古マンション】一括購入の流れ
購入時の流れについては、住宅ローンを組む場合と比較してシンプルに進みます。
こちらでは、以下の行程に分けてそれぞれ詳しく解説していきます。
– 契約申し込み
– 売買契約
– 支払いと引き渡し
事前準備
まず大前提として、物件の見学や内見、不明点などについてはしっかりと確認しておきましょう。
一括での購入でも、住宅ローンを組むにしても大きな買い物であることには変わりありませんので、後悔の無いようにする必要があります。
周辺地域の環境を確認、近隣住民の雰囲気なども、曜日や時間を変えながら注意深く確認しておくこともおすすめします。
≫≫【中古物件の探し方】後悔するポイント5選と対策方法を解説
≫≫ 閑静な落ち着きのある物件に住みたい!静かな物件の探し方とは
契約申し込み
物件を購入する意思が固まったら、購入申込書を提示して契約申し込みを開始します。
購入申込書には価格や日程等の詳細条件を記載することになりますが、この時点で希望する購入手段について伝えておきましょう。
不動産業者に重要事項説明書などの作成を依頼し、目安として一週間程度待つことになります。
売買契約
その後、宅地建物取引士によって重要事項の説明を聞くことになります。
実際の契約に進む前に、少しでも疑問に感じた点や質問したいことがあれば確認しておきましょう。
問題なければ不動産業者による本人確認をおこない、条件条項の説明の後押印によって契約が完了となります。
一括での購入の場合、手付金が通常よりも高めに設定されるケースがあります。
そのため現金の取り扱いには十分注意が必要でしょう。
不安な時は振込みによる手続きを提案してみるといいかもしれません。
支払いと引き渡し
後日、手付金を除いた代金を支払い、物件の鍵や権利証を引き渡してもらいます。
この時、買主と売主、仲介業者と司法書士の4名が集まることが通常となっています。
住宅ローンを組んでいる場合は、融資先の銀行にておこなわれますが、一括での購入の場合は不動産業者にて実施されることが多くなるでしょう。
引き渡しの作業が完了すれば、その日から購入した物件を利用可能となります。
【中古マンション】一括購入のメリット
一般的には住宅ローンを組んで購入する中古マンションですが、一括での購入には多くのメリットが存在しています。
その中でも特にお伝えした以下の内容について、それぞれ詳しく説明していきます。
– 諸経費が抑えられる
– 値引き交渉できる可能性
金利の負担がない
購入時に全ての費用を支払う場合、住宅ローンを利用しないため金利の負担がゼロになるメリットがあります。
住宅ローン金利については借入先や形式によって変動しますが、最も選択されることが多い35年固定金利の場合では最低でも1.1%、最大で6%の金利が発生します。
仮に金利3%で3,000万円を借りた場合、最終的な返済総額は4,850円にものぼり、追加の1,850万円は金利に対する支払いになってしまうのです。
一括での購入の場合、本来の物件費用に対する支払いのみで完了しますので、総額に大きな差が出てきます。
このように金利の負担がないことは、最も大きなメリットといえるでしょう。
諸経費が抑えられる
一括での購入の場合、前述した金利が発生しないだけではなく、その他諸経費も大きく抑えられるでしょう。
発生する諸経費については以下で説明しますが、おおよその金額としては一般的に数十万円〜数百万円程度にもなってしまいます。
ただでさえ大きな買い物となる中古マンション購入ですので、出来る限り支払い総額は抑えたいと考えるのは普通です。
このように、本来発生する諸経費を最低限に抑えられますので、支払い総額を大幅に削減することも可能でしょう。
主な諸経費
中古マンションの購入時に発生する諸経費については様々ですが、主に以下のような項目があげられるでしょう。
■|仲介手数料
■|登記費用
■|売買契約書印紙代
■|決済時日割り金負担
■|不動産所得税
■|固定資産税清算金
■|管理費・修繕費積立金
■|火災保険料
■|団体信用生命保険料
他にも細々とした費用が発生することが考えられます。
また物件によっても必要な諸経費は変わってきますので一概にはいえませんが、一般的には物件売買価格の5%前後が目安とされています。
値引き交渉しやすい場合がある
中古マンションの一括購入は売主にとってもメリットが大きいといえます。
なぜなら、買主が住宅ローンの審査に落ちる心配もなく確実に販売できるうえ、販売額の全額を即座に手に入れられるからです。
そのため一括での購入の意思を持つ買主が現れた場合、優先して販売したいと思うことは自然でしょう。
「一括での購入を検討しているので、物件価格を交渉したい」と伝えれば、多くの場合において交渉を検討してくれることが考えられます。
しかし注意すべきポイントもあります。
交渉を行う場合、成立時には必ず物件を購入するという強い意志を提示しておきましょう。
気軽に交渉だけを行い、希望価格まで下げてもらったのに返答しないなどの態度は禁物となります。
いい加減な顧客だと不動産会社や売主に判断されてしまい、相手にされなくなってしまう可能性があるでしょう。
価格交渉を依頼される売主の立場を考え、紳士的に対応することが重要です。
【中古マンション】一括購入での注意点
最後に、中古マンションを一括購入する場合の注意点についてお伝えします。
主に以下の内容となりますので、それぞれ詳しく確認していきましょう。
– 「すまい給付金」が対象外
– 税務署から「お尋ね」がくることも
税金が発生する
中古マンションの購入には税金が発生することを忘れてはいけません。
不動産の購入にあたって、主に以下の税金が発生します。
■|固定資産税
■|都市計画税
■|不動産取得税
固定資産税は物件が所属する市町村などによって異なりますが、全国の標準としては1.4%が定められています。
また都市計画税についてはほとんどの市町村において0.3%であり、不動産取得税は原則4%が定められています。
減税制度なども存在していますが、全てをゼロにすることはできません。
そのため、購入時の貯蓄額が物件価格と同等であった場合、税金の支払いに対応できないかもしれません。
こういったケースは必ず避ける必要がありますので、一括購入できると思ったとしても税金を含めた総額を確認しておきましょう。
「すまい給付金」が対象外
一括購入の場合、住宅ローンの控除だけではなく「すまい給付金」の対象からも外れてしまいます。
この制度は特定の条件を満たした場合、不動産を購入した時に最大で50万円の現金が支給されます。
対象となるケースは以下の2点となります。
■|年収の目安が775万円以下
■|住宅ローンを利用している
上記の項目からも分かる通り、住宅ローンの利用が前提となっていますので、一括購入では条件を満たすことができず利用できないのです。
そのため年収は775万円以下であっても、「すまい給付金」の対象から外れてしまいますので注意が必要です。
万が一支給される前提で購入を進めてしまった場合、費用の計算が大きくズレてしまうかもしれません。
一括購入では「すまい給付金」はもらえないということは、必ず覚えておきましょう。
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税務署から「お尋ね」がくることも
中古マンションを一括購入できる人は、実際の所多くはないでしょう。
数千万円の金額を支払える能力があるということですので、場合によっては購入資金の調達経路について税務署から確認される場合があります。
親族からの援助があった場合、贈与税の対象になるかを調査し、他にも不正な資金が使われていないかなどの確認をとられます。
もちろん正当な資金を利用し、適正な申告を行っていれば問題ありません。
税務署から問い合わせがあっても問題ないように、準備はしておいたほうがいいでしょう。
中古マンションの一括購入に関するまとめ
中古マンションの一括購入についてメリットと購入時の流れ、また注意点を解説してきました。
支払総額を大幅に抑えられる上、交渉時にも有利になる可能性が高くなる一括購入ですが、よく確認した上で進めなければ思わぬ落とし穴が潜んでいるかもしれません。
支払う税金の金額や、利用できない給付金の存在など、しっかりと確かめた上で一括購入を検討することをおすすめします。