「年収500万円の適正な住宅ローンはいくらかな」
「無理なく返せる額は月々いくら?」
「シミュレーションしてみたい」
この記事にたどり着いたあなたは、上記のような情報をお探しではないでしょうか。
マンションや戸建てなどの不動産を購入する際に、気になることのひとつが住宅ローンですよね。いつの時代でもお金に関する不安や疑問はつきものです。とはいえ、誰にも相談できずに悩んでいる人は少なくありません。
結論からお伝えすると、年収500万円の借入可能額は金利タイプや所属会社の勤続年数、健康状態などで変動します。そのため一概に上限額は〇〇万円のような断言は難しいです。
そのため事前にシミュレーションをして、概算の借入可能額を知ることも大切です。記事の最後には、あなたが借入できる金額を計算するためのシミュレーションを紹介します。
上記のことをまとめると、記事を最後まで読むことで以下の情報を知ることができます。
この記事でわかること |
■|住宅ローンの基礎知識 ■|ローン返済方法 ■|借入金額の決まり方 ■|借入シミュレーション ■|借入ポイントとリスク |
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住宅ローンに関する知識
借入金額を算出する前に、前提知識として住宅ローンの基本を学んでおきましょう。
例え借入金額が分かったとしても「なぜその金額なのか?」を理解していないと、ローンとの上手な付き合い方ができません。
ぜひ学んでいきましょう。
◉ 借入可能額と返済負担率について
◉ 3つの金利タイプ
◉ 2つの返済方法
借入可能額と返済負担率について
借入可能額とは、金融機関で借り入れられる限度額で、国で定められている上限は年収の3分の1です。(貸金業法|総量規制より)
しかし、住宅ローンの場合は総量規制の対象外となっています。
返済負担率とは、世帯年収または借主の収入に占める返済額の割合を示したものです。一般的に20%~25%以下が望ましいとされています。
年収500万円で返済負担率を25%とした場合は、年間の返済額は125万円が上限。月々の返済可能額は約10.4万円になります。
返済負担率は借入可能額にかかわるため、ぜひ覚えてほしい用語のひとつです。
3つの金利タイプ
返済に金利はつきものです。
金利とは、借主が貸主へ返済時に支払う利息のこと。借りた側が支払う金利を「利息」といい、貸した側が得られる金利を「利子」といいます。
住宅ローンには「全期間固定金利型」「変動金利型」「固定金利期間選択型」の3種類の金利があり、借入時に選択もしくは会社側から提示されます。
それぞれ特徴があるので紹介します。
全期間固定金利型
全期間固定金利とは、金利が通年同じ金利です。
金融政策などによる金利の変動に関わらず、金利が変わらないため返済計画に影響がでにくいのが特徴です。一方、変動金利に比べて支払利息が高い傾向という側面もあります。
変動金利型
変動金利は一定期間で適用金利が変動する金利を指します。
通常は半年ごとに見直されることが多く、適用金利が低い場合は返済負担が低くなるのが利点です。一方で金利が上昇した場合、借入当初より返済負担が高くなる可能性がある場合もあります。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型とは、言葉のとおり固定金利期間を選択できる金利のことです。
通常、「3年固定」「5年固定」「10年固定」があります。
選択した期間は固定金利が適用されますが、期間終了後は変動金利に切り替わるのが特徴。
育休などの収入に不安がある期間を固定金利とし、仕事に復帰予定の時期に変動金利に切り替えるなど、ライフスタイルの予定に併せて選択するなどの活用ができます。
2つの返済方法
ローンの返済方法は以下の2つがあります。それぞれ特徴があるので、理解しておきましょう。
◉ 元利均等返済
◉ 元金均等返済
元利均等返済
元利均等返済は、利息を含めた月々の返済額が同じ金額の返済方法です。
計画が立てやすく、初回返済時の金額が高くないのが特徴。一方で、期間が長く総返済額が多いのが注意すべき点です。
元金均等返済
元金均等返済は、返済が進むにつれて月々の支払金額が減少していく方法です。
初回返済金額が最も高く、初期期間の負担が重めなのが特徴的です。一方、返済期間が元利均等返済よりも短いのが利点です。そのため収入が高く、早めに完済させたい人におすすめです。
住宅ローンの借入額の決まり方
住宅ローンを検討する際に「借入額が決まる基準をしりたい」と感じた方は多いのではないでしょうか。
借入額は主に以下の5つの要素で決まります。
これから組む予定であれば、行動に移す前に上記5つの要素をご自身の状態と照らし合わせながら確認しておきましょう。
◉ 年収
◉ 健康状態
◉ 年齢
◉ 勤続年数
◉ 物件の評価額
年収によって決まる
住宅ローンでは審査において、源泉徴収票などの年収のわかる書類を請求されます。年収を審査する理由として、返済リスクの有無や返済負担率による借入可能額の判断をするためです。
基本的に金融期間では返済負担率を30%〜35%あたりを目安に設定しています。とはいえ、金融機関の設定は少し高めの設定であるため、借主の借入目安は年収の20%~25%とみておきましょう。
≫≫ 住宅ローン借入れ限度額の基準を解説!年収での目安金額もご紹介!
健康状態によって決まる
健康状態も借入に関わります。例えば、借主が返済途中で何らかの事故や病気で返済不可となった場合、不動産会社の損失リスクが大きくなります。
そのため、ローンを組む際は「団体信用生命保険(団信)」に加入しなければなりません。
団体信用生命保険とは、返済者の万が一のことを想定し保険金による完済を可能にする商品です。また、残された家族への金銭負担や生活を守るためにも加入が必須となります。
仮に団体信用生命保険に加入しない場合、契約ができない可能性が高いです。
年齢によって決まる(申込時と完済時)
年齢による借入金の決定要素のひとつです。住宅ローンの場合、借入時の年齢と完済時の年齢に条件があります。
例えば、借入時の対象年齢は満18歳〜満65歳まで。完済時の年齢が80歳または75歳などの条件が設定されています。
年齢が早いほど借りやすく、高齢になればなるほど難しいです。希望借入金額よりも少ないまたは借りられない場合があるので理解しておきましょう。
勤続年数によって決まる
勤続年数も大事な要素です。勤続年数が長いことは収入が安定しているとみられます。そのため、借入金額の判断基準になるのです。
一方で、勤続年数が短く異なる企業に転職を繰り返している場合の判断は金融機関で異なります。住宅ローンが借りれない、または金額が少ないなどの可能性があります。
物件の評価額によって決まる
住宅ローンでは抵当権と呼ばれる担保を行います。これは購入した物件を借入の担保として、返済不可などの万が一に備えた保険の一種です。
そのため物件の評価額は大切な要素のひとつとなります。例えば、物件の評価額が高ければ高いほど、担保としての価値は高くなるため借入金額にも好影響です。
物件の評価額がどのくらいあるのか、事前に専門業者に見てもらうと良いです。
年収500万の住宅ローンの借入れ額と返済シミュレーション
年収500万円で、実際の借入金額や月々の返済が知りたい人は多いのではないでしょうか。
借入金額や返済額、暫定でわかれば今後の計画も立てやすくなります。ここでは、年収500万円での借入可能額と返済シミュレーションを紹介します。
ぜひ参考にしてください。
年収500万の借入可能額と返済負担率
年収500万円の借入可能額と返済負担率をいくつか紹介していきます。※返済方法はいずれも元利均等返済で設定※計算は三井住友銀行公式HP/新規借入シミュレーションから
【事例1】返済期間30年/変動金利0.475%(2024年5月時点)
借入可能額 | 総返済額 | 月の返済額 | 返済負担率 |
---|---|---|---|
3,600万円 | 約3,863万円 | 107,313円 | 29.8% |
【事例2】返済期間35年/変動金利0.475%(2024年5月時点)
借入可能額 | 総返済額 | 月の返済額 | 返済負担率 |
---|---|---|---|
3,890万円 | 約4,223万円 | 100,549円 | 25.8% |
【事例3】返済期間30年/固定金利10年(2024年5月時点/年利2%)
借入可能額 | 総返済額 | 月の返済額 | 返済負担率 |
---|---|---|---|
3,600万円 | 約4,790万円 | 133,063円 | 36.9% |
【事例4】返済期間35年/固定金利10年(2024年5月時点/年利2%)
借入可能額 | 総返済額 | 月の返済額 | 返済負担率 |
---|---|---|---|
3,890万円 | 約5412万円 | 128,861円 | 33.1% |
返済期間や金利で返済負担率が大きくかわります。特に変動金利と固定金利の違いでは、返済負担率の違いは大きいです。
とはいえ、変動金利は市場の金利が上昇した場合に負担率も大きくなります。そのためどの金利を選ぶかは、ライフスタイルや収入に併せて判断するのがよいでしょう。
返済シミュレーション
前項の条件をもとに、ここでは返済シミュレーションを紹介します。金利は変動金利と固定金利10年での比較です。
【シミュレーション条件】
シミュレーション条件1 | シミュレーション条件2 | |
---|---|---|
借入金額 | 3,500万円 | |
返済期間 | 25年/30年/35年 | |
返済方法 | 元利均等返済 | |
金利 | 変動金利0.475% (2024年5月時点) | 固定金利10年 (2%) |
【シミュレーション1】変動金利(0.475%)
返済期間 | 25年 | 30年 | 35年 |
---|---|---|---|
総返済額 | 約3,712万円 | 約3,755万円 | 約3,799万円 |
月の返済額 | 123,753円 | 104,332円 | 90,468円 |
【シミュレーション2】固定金利10年(2%)
返済期間 | 25年 | 30年 | 35年 |
---|---|---|---|
総返済額 | 約4,450万円 | 約4,657万円 | 約4,869万円 |
月の返済額 | 148,349円 | 129,366円 | 115,941円 |
金利と返済期間により月々の返済額が変動しています。期間に余裕があるのであれば35年がおすすめです。
月々の返済負担が少なく、賃貸物件の家賃よりも金額が低くなる可能性があります。
とはいえ、返済は無理のない計画がマスト。そのためにも一度シミュレーションをして確認してみましょう。
住宅ローンを上限まで借りるリスク
ローンを組む際に気をつけたいことが、上限まで借りることです。リスクとなる理由は以下の3つが挙げられます。
限度額いっぱいに借入することで発生するリスクを知り、ご自身の家族と生活を守りましょう。
◉ 急な出費に対する対応が出来ない
◉ 金利の上昇に伴う返済額の上昇
◉ ローン以外の出費に対応出来ない
急な出費に対する対応が出来ない
住宅ローンを上限まで借りることで、急な出費に対応できなくなる可能性があります。なぜなら、収入の多くを返済に充てるため、急な出費に対応できる余剰分がなくなる可能性があるからです。
具体的にいえば、知人や身内の結婚祝いやご祝儀。出産や学校の行事に対する費用など様々。ライフプランとともに、想定外の費用が発生することもあるため、余剰資金は準備しておくのが良いでしょう。
金利の上昇に伴う返済額の上昇
金利の上昇で、返済額が予定よりも値上がりしてしまうリスクも理解しておきましょう。
金利は市場環境により変動します。例えば為替相場で円安が進んだ場合、円高対策のひとつが「利上げ」です。そのため、仮に1%の利上げが発表された場合、住宅ローンの金利も上昇します。
借入当初は「金利は上がらないだろう」と言われていたとしても、時代や経済状況で政策が変わることは珍しくありません。そのため、上限まで借り切らずに少し余裕を持った金額で借り入れるのがおすすめです。
ローン以外の出費に対応出来ない
住宅の購入には住宅ローン以外の諸経費が発生します。仮に借入金上限まで融資を受けて、それが月々の支払いが家計所ギリギリだった場合、諸経費の支払に回せなくなる可能性があります。
住宅ローン以外にかかる諸経費とは以下のようなものがあげられます。
■|印紙税
■|抵当権にかかわる登録免許税
■|司法書士への報酬
■|登記費用など
物件購入には、住宅ローン以外にも大きな費用の支払が発生することも知識として入れておきましょう
年収500万で住宅ローンを組む時の3つのポイント
年収500万円で余裕を持った借入をするためには、以下の3つのポイントをおさえておきましょう。
◉ 頭金の用意
◉ 住み替えの際は住み替えローンを検討する
◉ 仲介業者と金融機関は慎重に選択
頭金の用意
頭金とは、物件購入時に購入価格の何割かを先に支払うお金です。頭金が多ければ多いほど、住宅ローンの負担金額も減ります。そのため、今後の支払負担も考慮しながら頭金の準備をしておきましょう。
一般的に頭金の相場は、購入価格の2割といわれています。しかし、今後の生活や支払い負担を軽くしたい場合は3割〜3.5割の頭金を用意しておくのも良いでしょう。
≫≫ マンション購入時の頭金はいくら必要?頭金ゼロの3つの注意点も解説
住み替えの際は住み替えローンを検討する
住宅を住みかえる場合は「住み替えローン」を検討しましょう。住み替えローンとは、今住んでいる住宅のローンが残っていた場合に残債分と新たな物件の購入資金を併せて借入ができる商品です。
住み替えローンを利用することで、住宅ローンを完済しなければ解消できない「抵当権」をなくすことができます。
また、新たにローンを組む「二重ローン」を回避できることや住み替え費用をおさえることができるのもメリットです。
一方で、審査が厳しいことや必然と借入金額が高額になることが注意点です。住み替えローンで支払の負担が増えるおそれがあるため、事前に専門の担当者と確認したうえで利用しましょう。
仲介業者と金融機関は慎重に選択
ローンを組む前に、必ず仲介業者や金融機関の下調べをしましょう。慎重に決めることで無駄な費用をおさえることができます。
そのためにも、業者や金融機関は複数社を候補にあげ、まずは同時に申し込みをするのをおすすめします。審査落ちも考慮した方法でもあります。
本審査では書類の手続きなどの手間が増えるため、その時点で2〜3社ほどに絞り込みましょう。
≫≫ 初心者でも分かる住宅ローンの正しい選び方は?3種類の金利や審査について解説
年収500万 住宅ローンのまとめ
今回は年収500万円の方向けの住宅ローンの借入額やシミュレーションについて紹介しました。
年収500万円の場合、借入金額は3千万円台まで借りることができます。一方で変動金利と固定金利のどちらを選ぶかで総返済額が変わることや、返済期間の長さで月々の返済負担が変動します。
一番のポイントは生活に影響するほど上限ギリギリまで借りないことです。家族がいる場合、様々なライフイベントなどで急な出費が必要になります。
その時、支払う余裕が無ければ本末転倒です。また、住宅ローンの支払の他にも諸経費の支払いも必要なため、ローンにかかる金額以外の部分にも目を向けましょう。
この記事を参考に、ぜひ上手な物件購入を実現してください。