持ち家と賃貸のどちらが得なのかは、長いこと論争を巻き起こしてきました。依然として結論が出てないともいわれています。
持ち家は賃貸と比較し、初期費用が多くかかりますがランニングコストが安くなる傾向があります。
本記事では生涯にかかるコストをシミュレーションすることで持ち家と賃貸のどちらが得なのかを解説します。ぜひ参考にしてみてください。
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持ち家のメリットとデメリット比較
まず、持ち家のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
「賃貸でも家賃を払う必要があるので、同じように毎月ローンを支払っても将来的に自分の物になる持ち家のほうが優れている。」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらそう単純なものではありません。
持ち家と戸建て住宅の他にマンションも含めてお考え下さい。
◉ 持ち家のデメリット
◉ 持ち家を選んだ方がいい人
持ち家のメリット
持ち家のデメリットは以下のものがあげられます。
■|資産として考えられる
■|物件の種類が豊富
■|自由にレイアウトの変更やリフォーム、リノベーションができる
■|内容や設備のグレードが高い
■|ローン完済することで住居費の負担が少なくなる
■|住宅ローンに団体信用生命保険が付属していれば万が一のときも安心
持ち家の場合は資産として考えられるのが大きなメリットといえます。
賃貸物件はあくまで借りているだけですので所有権はありません。場合によっては家族にも残せるでしょう。物件の種類も単身向けからファミリー層向けまで多くの選択肢があります。
また、ご自身の所有物となるため、レイアウトの変更やリフォームなども自由に行えるのもポイントです。設備もグレードを高くすることができるでしょう。
住宅ローンという固定費が発生しますが完済さえしてしまえば、住居に関する費用負担が少なくなります。
さらに、住宅ローンに団体信用生命保険が付帯されていると、ご自身に事故など万が一のことがあった場合は住宅ローンがゼロになるので残された家族も安心できるでしょう。
≫≫ リノベーション費用の相場はいくらなのか?実例とともに徹底解説
≫≫ 中古マンションの探し方のコツを10個紹介!効率的に理想の物件に出会う方法とは
持ち家のデメリット
持ち家のデメリットは以下のものがあげられます。
■|一度住んでしまうと引っ越しが難しい
■|メンテナンス費用がかかる
■|固定資産税などの固定費が発生する
一度住んでしまうと引っ越しができないのはデメリットになり得ます。会社の辞令で転勤する可能性もあります。
さらに災害の多い地域では家がダメージを受けることも考えられるでしょう。
メンテナンス費用もご自身で負担することになります。マンションだと管理費などが該当します。住み始めてから15年程度で発生することを想定しましょう。特に屋根や外壁は風雨の影響で修繕が必要になってきます。
そして、固定資産税も発生しますので住宅ローン以外の費用がかかることは頭に入れておいてください。
≫≫ 中古マンションの管理費/修繕積立金の違いは?各相場と値上がる要因
≫≫ メンテナンス費用はどっちがお得?中古マンションと戸建てで比較
持ち家を選んだ方がいい人
大きく5点、持ち家に向いている人の特徴をまとめてみました。
■| 収入が安定していてローンを確実に支払える
■|一括で持ち家を購入できるだけの資金がある
■|長期的なライフプランが決まっている
■|賃貸では見つからない大きな家が必要
■|こだわりを持った住宅に住みたい
やはりローンの支払いが確実にできる人という点が、大きなポイントになるかもしれません。
また購入時の頭金を多く支払えたり、一括で数千万円を支払えるなどの財力があれば、持ち家のデメリットが大きく解消できます。
すでに結婚と育児をしており、転職の可能性が低く失業の恐れもほとんどない場合など、ライフプランの見通しがはっきりしている方も持ち家を選んだ方が良いでしょう。
さらに賃貸ではなかなか見つからないような大きな住宅、こだわりを持った家が欲しいという際にも持ち家という選択肢となるでしょう。
≫≫ 共働き世帯の年収に見合うマンション購入のポイントを分かりやすく解説
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賃貸物件のメリットとデメリット比較
次に賃貸物件のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。持ち家とは性質が変わりますのでぜひ参考にしてみてください。
◉ 賃貸物件のデメリット
◉ 賃貸物件を選んだ方が良い人
賃貸のメリット
賃貸物件のメリットは以下のものがあげられます。
■|引っ越ししやすい
■|初期費用が低く抑えられる
■|メンテナンス費用がかからない
賃貸物件は、引っ越しがしやすいです。家族状況の変化、急な転勤辞令があった場合も対応できます。収入が変化した場合もグレードアップ・ダウンが調整できるでしょう。
持ち家では、簡単な住み替えができないので賃貸物件のメリットといえます。
初期費用も持ち家に比べると低く抑えられます。持ち家は工事費用がかかる場合もあるでしょうし、登記のための事務手数料がかかる可能性もあるからです。
また、ご自身にメンテナンス費用はかかりません。通常は大家がメンテナンスや修繕などを行うからです。
≫≫ マンションの住み替えで失敗する人とは?要因と対策を分かりやすく解説
賃貸のデメリット
賃貸物件のデメリットは以下のものがあげられます。
■|自由にレイアウト変更やリフォーム・リノベーションができない
■|年齢によって賃貸契約できない場合もある
■|借りられる物件の種類が少ない
■|資産にならない
■|内容や設備のグレードが持ち家より低い
賃貸物件はご自身の所有物では無いため、レイアウト変更やリフォームができません。たとえば家族が増えて部屋を増やしたい場合は引っ越しを検討する必要があります。
また、年齢によっては賃貸契約を断られるケースもあります。契約できる賃貸物件もありますが、選択肢はかなり狭まってしまうでしょう。
賃貸物件は最終的に内容や設備もグレードが低い場合が多いです。水回りは簡単に変えられないので、デメリットといえます。
≫≫ 一人暮らしでマンション購入するメリット・デメリットとは?価格相場も解説
≫≫ 独身女性のマンション購入に関するデータを解説!年収や事例もご紹介
賃貸物件を選んだ方が良い人
こちらも大きく5点、賃貸に向いている人の特徴をまとめてみました。
■|転勤が多く単身赴任はしたくない
■|収入の変化が見込まれる
■|ライフプランが決まっていない
■|ローンも借金なので控えたい
■|高齢になっても家賃を支払える目処があり、保証人も用意できる
転勤が数年ごとにあるという方は、どうしても持ち家という選択肢は難しいかもしれません。
ご家族がいて単身赴任となれば、補助があっても余計な出費が発生しますし、何より家族と離れて暮らす事への寂しさもあります。
また、まだ若い方でライフプランが決まっていない場合も、変化に柔軟に対応できる賃貸が適しているでしょう。
そして「住宅ローン」も言い換えれば借金。
借金という言葉にマイナスイメージを持っていたり、荷が重いと考える場合は避けたほうがいいですね。
加えて、先程賃貸のデメリットでお伝えしましたが、老後になると保証人を求められます。
その際にしっかりと対応できる目処があり、家賃も滞りなく支払えるようでしたら全く問題ありません。
生涯コストシミュレーションによる比較結果
さて、持ち家と賃貸物件でそれぞれかかる費用について、生涯コストシミュレーションによる比較を行います。
本項の答えとして、費用がかからないのは「持ち家」です。
項目 | 持ち家 | 賃貸 |
初期費用 | 120万円 | 44万円 |
ランニングコスト | 6,240万円 | 6,850万円 |
合計 | 6,360万円 | 6,899万円 |
※ 入居から50年で計算
※ 持ち家の火災保険・地震保険は10年に一度更新の計算
※ 持ち家の住宅ローンは35年で計算
※ 持ち家の大規模修繕は100万円レベルのものを2回で計算
※ 賃貸の更新料は2年に一度更新の計算
以上のシミュレーションでは、500万円程度、持ち家が安くなる計算となりました。
当然、物件の条件によっては金額も異なります。絶対に持ち家が安くなるとは断言できませんが、おおよその場合は持ち家が金額的に有利なことが多いでしょう。
さらに、次の2つのポイントからも、持ち家をおすすめする理由を解説します。
◉ 掛捨てと積み立てでイメージするとわかりやすい
住宅ローン延滞より家賃滞納リスクの方が高い
住宅ローンを延滞するより家賃滞納リスクの方が高いというデータがあります。
住宅金融支援機構が「投資家向け説明資料」として出している資料には、住宅ローン全体の貸付金額のうち、0.67%程度が破綻の危機を迎えた割合となっております。非常に少ない数字といえるでしょう。
また、公益財団法人の日本賃貸住宅管理協会が公開している「第26回日管協短観」では、家賃の滞納率が全体の1.3%あり、エリアによっては3%を超えるところもありました。
割合を見ると、住宅ローンを滞納するより家賃を滞納するリスクが高いことが分かります。
掛捨てと積み立てでイメージするとわかりやすい
掛捨てと積み立てでイメージすると、賃貸物件と持ち家の違いが分かりやすいでしょう。
賃貸物件は家賃を払い続けますが、最終的に物件は自分のものにはなりません。払い終わったときは住む場所もなくなるときです。
対して持ち家は積み立てるイメージと考えられます。住宅ローンを毎月支払い、完済した頃には持ち家が完全に自分のものになります。
また、もし住み始めてからローンの完済前に売却することになった場合も、住宅ローンの残債よりも売却金額が高ければ差額が利益になり得ます。
また、住宅ローン減税を活用することで現金が戻ってくる可能性もあります。
つまり賃貸はお金を掛捨てで払い、持ち家はお金を積み立てつつ住むことができます。
上記のことからも持ち家が賃貸よりおススメできる理由です。
≫≫ リノベーションした中古マンションの資産価値を分かりやすく解説
≫≫ 住宅ローン控除(減税)期間はいつまで?借入限度額や申請期日もご紹介
持ち家で新築が高いなら中古マンション購入がお得
持ち家を検討している方で、なかなか新築の費用が高く購入が難しい方は中古マンションがおすすめです。
不動産研究所の調査によると中古マンションの契約件数が2023年4月・5月ともに3,000件弱の成約件数となっています。
新築マンションの成約件数が約1,500件に届かないので、中古マンションが2倍程度多く購入されていることが分かります。
やはり、中古マンションの方が新築と比べ人気であることが分かるでしょう。
≫≫ 東京23区ごとの中古マンションの相場と今後の価格推移を徹底解説!
◉ 中古マンション+リノベーションで新築同様に
◉ 中古マンション購入なら仲介手数料0円の会社
新築と中古マンションの価格の違い
新築と中古マンションの価格の違いを解説します。
国土交通省「不動産市場動向マンスリーレポート」によると以下の通りでした。
項目 | 新築マンション | 賃貸 |
平均価格 | 5,653万円 | 3,294万円 |
㎡単価 | 81.3万円/㎡ | 51.46万円/㎡ |
データ上では基本的に中古マンションが安価になることが分かります。こちらも当然条件によって中古マンションが高くなる可能性もありますが、広さや立地などが同条件であれば新築が高くなるでしょう。
また、中古マンションは売主が個人であれば消費税がかかりません。
新築マンションは消費税がかかります。さらに「修繕積立基金」という一時準備金を支払う必要があります。マンションで10年~15年ごとに実施される大規模修繕に活用されるお金です。
マンションによっては数十万円かかる可能性があるでしょう。
中古マンションのみにかかる費用は仲介手数料です。基本的に物件価格の3%+ 6万円に、消費税がプラスされます。
ただし、仲介手数料に関しては0円にする方法があります。
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中古マンション+リノベーションで新築同様に
中古マンションを購入することをおすすめしてきましたが、リノベーションを活用することで新築同様の住み心地にできます。
リノベーションであれば理想のデザインが追求できます。
家は人生の中でも大きな買い物といえるでしょう。家の内や外装にご自身の希望を反映させることで生活の満足度が飛躍的に向上します。建売の物件ではそうはいきません。
たとえば螺旋階段を使ったり、ふきぬけの天井を作ったり、内装にこだわりたいのであれば強くリノベーションをおすすめします。
選べる物件の幅が増えるのも大きなメリットです。新築物件でご希望の内装・外装、居住エリア、費用など全てを実現するのは非常に難しいでしょう。特に都心部や人口の多い人気エリアではいくつかのポイントを妥協せざるを得ないこともあります。
中古マンションを購入し、リノベーションを活用するのであればエリアと立地にフォーカスして物件を選択できるので、選択肢が大きく増えます。
「駅徒歩5分以内」、「安全なエリア」、「子供を育てやすい」などご自身の選びたい環境が選べるようになるでしょう。
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まとめ
本記事では、持ち家と賃貸物件ではどちらがお得なのかを解説しました。
生涯にかかるコストシミュレーションの結果、お得なのは持ち家です。
また、持ち家と賃貸物件のメリットとデメリットを解説しました。
それぞれの特徴をふまえてご自身に合った物件をお探しください。
持ち家を取得するのであれば、中古マンションを購入しリノベーションを活用するのがおすすめです。
中古マンションは高額な買い物になります。後悔をしないよう、様々な内容をじっくり吟味して考えましょう。