マンションに住むなら最上階がいいという方は多いでしょう。
見晴らしが最高で、日当たりや風通しがいいことがメリットですが、実はよいことばかりではありません。
SNSや知恵袋などでも「最上階は暑いからやめとけ」といったマイナスの声が公開されています。
では暑がりな人は最上階には住まないほうがいいのでしょうか。
そこでこの記事では、マンションの最上階が他階より暑い理由、最上階に住むメリットとデメリット、そして暑さを軽減する対策について解説していきます。
マンション最上階が暑くなる4つの原因
マンション最上階は他の階よりも暑くなります。
いざ住み始めてから「日差しが強すぎる」「エアコンが効かない」「冷房の電気代が高くなる」などのデメリットを痛感する方は少なくありません。
ではなぜ最上階が最も暑いのでしょうか。
その理由は主に4つあります。
各項目について詳しく見ていきましょう。
2. 障害物がなく日当たりが良いため
3. 機密性が高く熱がこもるため
4. 断熱材の性能が不十分のため
1. 屋上の熱が伝わりやすいため
一戸建て住宅は、1階より2階のほうが暑くなります。
屋上の熱がダイレクトに伝わるためですが、これはマンションも同じです。
熱を吸収するのは鉄板屋根だけでなくコンクリートにも言えることです。
鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートは、熱を蓄える性質があります。
特に晴天の際は日差しが強くなるため、非常に高温になります。
そしてひとたび高温になると、日没後も温度が十分に下がりません。
屋上のコンクリートが熱くなると、その熱が家の中にまで伝わります。
屋上は最も日光を浴びる場所です。
そしてそのすぐ下に最上階の部屋があるわけですから、他の階よりも暑くなるのは必然です。
このような現象が起こるのは、高層階マンションだけではありません。
2階建ての低層階マンションでも起こります。
2. 障害物がなく日当たりが良いため
マンションは上の階ほど位置が高く、日光をまともに受けてしまいます。
部屋の温度は外気温に左右されますが、日差しの影響も無視できません。
例えば外気温が同じ30度でも、曇天日より晴天日のほうが室内は暑くなります。
最上階は低層階より障害物の影響が小さく、日陰ができにくいです。
極めて日当たりがよいため、夏場は非常に暑くなります。
特に窓の付近は非常に暑く、これは外気や日光による熱の約70%が窓から入り込んでくるからです。
窓のサイズが大きい、窓の数が多い、といった部屋は特に影響を受けやすいです。
また、照り返しによる熱の影響も無視できません。
ベランダやバルコニーに蓄積した熱が、照り返して室内に侵入してくるからです。
窓ガラスは日差しだけでなく、熱そのものを伝える性質もあります。
直射日光の影響は上階になるほど強くなるため、最上階のベランダやバルコニーは最も暑くなりやすくなります。
3. 機密性が高く熱がこもるため
木造や鉄骨造の一戸建てやアパートよりも、コンクリート造のマンションは部屋が暑くなりやすいです。
これは気密性が高いためで、冬は暖かく過ごせる反面、夏は非常に暑くなります。
気密性とは室内に閉じ込めた空気を、逃がさずに抱え込んでおく性質のことです。
高気密性の部屋は空気が循環しにくいため、暖まった空気が逃げず部屋を暑くします。
また、マンションは窓が少ない物件が多く、熱の逃げ道の確保が難しいです。
窓は視界を確保する役割のほかに換気機能も備えています。
換気扇も外気を取り込むために役立ちますが、窓を開けたほうがより効果的です。
マンションはその構造上、熱くなった空気を逃がすことが難しいわけです。
効率よく空気を循環させるためには、部屋に2箇所以上の窓が必要になります。
部屋に窓が1箇所しかない設計だと高温多湿になりやすく、夜になっても不快指数がなかなか低下しません。
4. 断熱材の性能が不十分のため
断熱性能が高ければ省エネ効果も高く、地球温暖化対策に貢献します。
そのため、国はたびたび「省エネ基準」を改正しています。
つまり新しいマンションほど断熱性能が高く、逆に古いマンションは低いです。
断熱とは「熱を断つ」という意味で、熱の伝導を抑える働きがあるからです。
築年数が古いマンションには、古い省エネ基準が採用されています。
断熱性能が現在と比べてかなり低く、例えば熱を伝えやすい断熱材が使用されています。
この影響はすべての階層に波及しますが、中でも最上階は日差しが強いので暑くなりやすいです。
断熱性能の高いマンションを探すには、平成11年基準に着目してください。
1999年以降に建てられた物件であれば、それ以前の物件より高性能な断熱材が使われています。
例えば、築20年と築30年のマンションでは、前者のほうが涼しい物件を見つけるのが容易です。
また築年数が同じでも、賃料の高額な高級マンションは高い断熱性能を備えています。
マンション最上階に住むメリットとデメリット
マンション最上階には、住んでみないとわからないメリットとデメリットがあります。
それではメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。
マンション最上階のメリット | マンション最上階のデメリット |
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マンション最上階のメリット
マンション最上階に住む以下のメリットについて説明します。
それぞれ詳しく解説します。
■|風通しがよく湿気が溜まりにくくカビも発生しずらい
■|上階がないため足音の心配もなければ外からの騒音もない
■|高層階のため虫が侵入してこない
最上階からの景観が良い
マンションの階層の中でも、最上階は最も景観がよいです。
周りの一戸建てやアパートよりも視界が高くなるため見晴らしは最高です。
絶景を実現するポイントは、高度があること、周囲に視界を遮るものがないことにあります。
そしてマンションの最上階は、この2つの条件を満たしています。
また、景観がよいことに加えて、人の視線を避けられるメリットもあります。
低層階に住んでいれば、同じマンションの居住者と目が合うことが少なくありませんが、最上階ならその心配はいりません。
人付き合いが苦手な方にとって、最上階は最高の住環境になるはずです。
風通しがよく湿気が溜まりにくくカビも発生しずらい
マンションの高層階は地上からの高さがあるので、他の住宅や木々といった障害物の影響が小さくなります。
いわば外壁と窓が、外気とつながっている状態です。
そのため窓を開けることで、効率よく換気が行えます。
夏場の室内は非常にカビが発生しやすく、これは高温多湿になりやすいためです。
湿度が70%を超えた状態が続くと、カビの発生リスクが非常に高くなります。
そこで必要になるのが、こまめに窓を開けて換気をすることです。
同じマンションでも、低層階より高層階の部屋のほうが風通しがよいので、湿気溜まりを予防する上で好都合です。
ただし、高層階マンションが乱立しているような環境では、最上階といえども風通しが悪くなります。
郊外より都心のマンションのほうが風通しが悪い理由でもあります。
上階がないため足音の心配もなければ外からの騒音もない
マンション暮らしの悩みの一つが騒音問題です。
マンション一棟には大勢の入居者が生活しており、生活リズムもそれぞれ違います。
自分が眠ろうとしたら、上階の入居者が運動やゲームを始めるという状況は往々にしてあることです。
マンション最上階に住んでいる場合だと、上階が存在しないので上からの騒音に悩まされる心配がありません。
また、マンションの最上階は、地上から最も離れている階です。
そのため外からの騒音が届きにくく、昼夜を問わず部屋が静かになります。
交通量の多い道路に面した場所、繁華街の付近などに立地するマンションであっても、最上階は驚くほど静かです。
高層階のため虫が侵入してこない
ハエや蚊などが侵入できる高度には限界があります。
飛行する虫が生息する高度は0〜10mくらいです。
10mといえばマンションの3階程度です。
3階以下の階に住んでいる方は、飛行する虫だけでなく飛行しないアリやダンゴムシなどに遭遇するリスクもあります。
これが4階以上になると、虫全般の姿を見かけることが激減するはずです。
最も虫に出くわすリスクが低いのは最上階です。
鳥だとマンションの30階くらいの高さでも目にすることがありますが、虫は鳥のように高い場所を飛べません。
そのため最上階に住んでいれば、ほぼ遭遇する心配はありません。
ただし、これはある程度の階数のあるマンションの話です。
2〜3階の低層階マンションの場合ですと、最上階でも虫が普通に侵入してきます。
≫≫ マンションの1階に住むのはあり?メリットデメリットともに徹底解説
≫≫ マンションのRC5階の高さと住んだ時のメリット・デメリットを解説
マンション最上階のデメリット
マンション最上階に住む以下のデメリットについて説明します。
それぞれ詳しく解説します。
■|災害時にエレベーターが止まったりした時は自力で上り下りしないといけない
■|地震発生時に揺れが激しい
外気温に影響されやすい
マンションの階層の中で、最も外気温に影響されるのが最上階です。
これは夏の暑さだけでなく、冬の寒さにも言えることです。
また直射日光や湿度、風などの影響も強く受けます。
環境の変化が顕著に表れる場所のため、「マンションの最上階に住むようになってから、天気予報が非常に気になるようになった」という方は少なくありません。
最上階は外気温によって室内環境が左右するため、ここで暮らす方は体調管理を徹底する必要があります。
急激な温度変化は体にダメージを与え、免疫力を低下させる要因になります。
特に夏と冬は体調を崩しやすくなりますが、寒くなり始める秋も注意が必要でしょう。
災害時にエレベーターが止まったりした時は自力で上り下りしないといけない
マンションで地震や火災が起きたときは、エレベーターは使用しないようにしてください。
エレベーターに損傷が及ぶと、乗っている人間も危険です。
そのため1階まで避難するときは、否応なしに階段を使うしかありません。
最上階に住んでいる方は、移動距離が長くなり、それに伴って移動時間も増えます。
火災の発生時は、特に素早い移動が大切となります。
煙は空間を上へとのぼるため、1分1秒でも早く下に降りなくてはいけません。
小さいお子さんや高齢者のいる家庭は、災害時に何分くらいで1階まで退避できるかシミュレーションしておくといいでしょう。
地震発生時に揺れが激しい
マンションは高さがあるほど、地震発生時に激しく揺れます。
階層で見ると最上階が最も揺れやすく、大きな地震がくると建物が倒れるのではないかと不安になる方が多いようです。
耐震基準上では震度7にも耐えられるとされていますが、リスクがないわけではありません。
例えば、建物に欠陥があったり、地盤が緩んでいたりするケースです。
日本は地震大国の一つで、小さな地震も含めると1年間に1,000回以上の地震が発生しています。
地震は突発的に発生するため、マンションの最上階に住んでいる方は、特に室内の安全管理が必要です。
例えば、重たくて高さのある家具は固定具で固定し、倒れてこないようにしましょう。
特に寝室に家具がある場合、眠っている最中に倒れてくると避けられないので注意が必要です。
≫≫ マンションは何階がいいのか?各階別のメリット・デメリットを解説
マンション最上階の暑さを解決する6つの方法
マンション最上階は外気の影響をそのまま受けるため、夏場は非常に暑くなります。
そこで実践したいのが、すぐに始められる暑さ対策です。
暑さを解決するには主に6つの方法があります。
では次から詳しく説明していきます。
2. 断熱性の高いカーテンを利用する
3. バルコニーやベランダに打ち水をする
4. 風の通り道を作る
5. エアコンの場所変更やアップグレード行う
6. サーキュレーターで効果的に空気を循環させる
1. 天井の断熱施工を行う
一戸建ては1階より2階、さらに屋根裏部屋のほうが暑くなります。
屋根に近い場所ほど暑くなる性質があり、これはマンションにも言えることです。
最上階は他のどの階よりも高い位置にあるため、極めて暑くなります。
特に築年数の古いマンションは断熱材の性能が低く、なかにはエアコンを作動させても30度に達する物件も少なくありません。
マンションの屋根を形成するコンクリートは、日射によって暖められて熱くなります。
するとコンクリートの熱がその下にある最上階にまで伝わってしまいます。
そこで最上階を涼しくするために、熱移動を最小限に抑えましょう。
天井面に断熱施工をする方法なら、室内からでも工事ができます。
また天井面と比べると効果は落ちますが、壁面に断熱施工をする方法もおすすめです。
近年はエコ意識の向上もあり、新築マンションには優れた断熱性が備わっていますが、中古マンションは断熱性が弱く暑い物件が多いです。
特に1999年よりも前に建てられたマンションの場合は、天井の断熱リノベをする必要性が高くなります。
2. 断熱性の高いカーテンを利用する
カーテンの役割は日差しを遮るだけではありません。
断熱性能に優れた「断熱カーテン」を導入すれば、熱が室内に入り込むのを防げます。
それにより室内における熱中症の予防、またエアコンの使用電力削減も期待できるでしょう。
断熱カーテンはよく遮光カーテンと混同されますが、両者は役割が異なります。
遮光カーテンは光を遮断するのが目的で、日中に部屋を暗くして眠りたいときに最適です。
これに対して断熱カーテンは、室温の上昇を防ぐのが目的です。
断熱性の高いカーテンは、カーテン専門店でなくても購入できます。
ホームセンターで販売されている商品でも、『断熱』と名のつく商品であれば断熱効果があります。
さらに断熱性能と遮光性能を兼ね備えたカーテンもあり、部屋を涼しくした上に暗くできるのが特長です。
3. バルコニーやベランダに打ち水をする
炎天下で熱くなった道路に水をまくと、道路の表面温度が下がって涼しくなります。
こうした打ち水はヒートアイランド対策として、全国の都市部で実施されているほどです。
また打ち水は道路だけでなく、バルコニーやベランダでも効果を発揮します。
熱くなった場所に水をまくと、水は素早く蒸発していきますが、このとき熱を吸収することで冷却効果が生まれます。
打ち水に使用する水は水道水で問題ありません。
水道代を節約している方なら、お風呂の残り湯を使用してもいいでしょう。
打ち水をするにはバケツと柄杓が必要ですが、これは一度購入すればほぼ一生ものです。
最もお金をかけずに始められる暑さ対策が、バルコニーやベランダへの打ち水です。
打ち水をするタイミングは、暑い時間帯に行うのがベストだと思われがちですが、実は日が高くない時間帯のほうが効果を発揮します。
日中よりも朝方や夕方にまいたほうが効果的です。
また1日に1〜2回の打ち水をすることで、室内に侵入する土埃を抑えるメリットも期待できます。
4. 風の通り道を作る
風のない場所は熱気が溜まり、暑くなる性質があります。
そこで暑さ対策として、窓やドアを開けて風の通り道を作る対策をしましょう。
ここでポイントとなるのは、2か所以上開けることです。
窓を1か所開けるだけでは、空気の流れを作り出すことが困難です。
そこで対角線上、つまり隣り合わない2点を結ぶように2か所開けるようにしてください。
それにより熱に加えて湿気も追い出し、カビ対策まで行えます。
「窓を開けると虫が入ってきて嫌」という方は、通気口や網戸を活用しましょう。
窓を直接開けるほどの換気効果は期待できませんが、換気時間を長くすることでカバーできます。
しっかりと換気をすれば外の新鮮な空気を取り込み、室内のよどんだ空気を追い出す効果も期待できます。
部屋を涼しくするためには、窓を開ける時間帯も重要です。
部屋の熱を追い出すには、少し風が強いときに窓を開けると効果的です。
また夜に10分ほど窓を開ければ、部屋を涼しくしてから眠ることができます。
5. エアコンの場所変更やアップグレード行う
エアコンは設置方法によって冷房効果が変わるので、必要に応じて場所変更をしてください。
効率よく部屋を冷やすためには、部屋の長さに着目しましょう。
部屋の長い方向に対して、風が出るように設置するのがコツです。
室内機と室外機はなるべく近いほうが好ましく、これは両者の距離が離れれば離れるほど冷房効果が弱くなるからです。
エアコンのタイプは部屋の広さに合ったものを選んでください。
適用畳数が小さいエアコンは安価ですが、冷やすときにフル稼働させる必要があり、エアコンに負荷がかかります。
すると適用畳数が大きいエアコンより電気代が高くなり、費用対効果が悪くなるので、アップグレードしたほうがいい場合があります。
部屋に合ったエアコンを選ぶためには、エアコンを購入するときに販売店のスタッフに部屋の仕様を伝えておくといいでしょう。
エアコンの冷房効果を高めるには、適温を維持することが重要です。
部屋が暑くなってから冷房をつけるのではなく、暑くなる前につけてください。
つける頻度については、以前はこまめにつけるのがベストとされていましたが、近年のエアコンは常時つけておいたほうが節電になるものがほとんどです。
6. サーキュレーターで効果的に空気を循環させる
室内の空気の温度は、場所によって差があります。
部屋をまんべんなく涼しくするためには、サーキュレーターで空気の循環効率を高めましょう。
室内の空気はよどみやすく、あまり動かない性質があります。
そこでエアコンを稼働させる際は、エアコンの吹き出し口に向けてサーキュレーターで風を当てるのがおすすめです。
サーキュレーターがない場合は扇風機で代用する方法がありますが、扇風機は涼感を得ることが目的です。
そのため空気の循環効率において、サーキュレーターほどの効果は期待できません。
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住みやすいマンションの特徴は、家全体が年間を通して適温であることです。
こうした機能は新築マンションだけの特権だと思うかもしれませんが、中古マンションであっても、断熱リノベをして高断熱仕様にすれば新築マンションに匹敵する快適性を実現できます。
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まとめ:マンション最上階でも快適に過ごせるよう対策しよう
マンションの最上階は見晴らしがよく、騒音や虫被害を防げるのがメリットです。
その一方で他階よりも暑くなりやすく、夏場は熱中症の危険リスクが高まります。
そこで役立つのがDIYで行える暑さ対策ですが、自分でできる断熱対策にはやはり限界があります。
部屋が思うように涼しくならない、エアコンの効きが悪いと感じたら、プロによる断熱リノベを検討してください。
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